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【私の「とんぼ」愛】成田美寿々<前編>いちばん印象に残っているのは「もちろん私の優勝シーン!」

4月からのテレビアニメ放送を前に「オーイ! とんぼ」好きを自認する著名人の皆さんに“とんぼ愛”を語ってもらうリレー連載。今回の語り手は、プロゴルファー成田美寿々。この連載初の“ご本人”登場です!

漫画と現実のダブル優勝

――成田プロは、プロゴルフ界で早くから“とんぼ推し宣言”をしていただいた恩人です。

だから、私もうれしいです。ゴルフ雑誌から生まれた漫画がアニメ化されることは貴重だし、これまでゴルフをよく知らなかったという方に知ってもらえるチャンスですよね。

――そもそも成田プロ自身が漫画に出演されています。

あはは。正確には「“成多”美寿々」ですけどね(笑)。

――そもそも「オーイ! とんぼ」を読み始めたきっかけは?

ゴルフの勉強に熱心な父の影響ですね。いろんなゴルフ雑誌を読んでは、付箋を付けておく人なんです。私への「ここを読んでおきなさい」というメッセージですね。で、「週刊ゴルフダイジェスト」にも、もちろん付箋が付いていましたが「とんぼ」のページにも付いていたんです。漫画に付箋が付いていたのは初めてだったと思います。

――大のマンガ好きで知られる成田プロが考える「オーイ! とんぼ」の魅力とは?

とんぼがゴルフを“遊びの道具”として使っていたのが新鮮でした。自分はプロゴルファーになってから読んだので、とんぼの様子を見ながら「ああ、私もこういう気持ちでゴルフを楽しんでいたこともあったなあ」って。12歳でゴルフを始めたんですが、最初はドライバーで飛ばすのが楽しくて。アイアンは「ダダーン」みたいな変な音しかしませんでしたけど(笑)。

――そこからはトントン拍子に上達を……。

してないです(笑)。最初に出た大会は、100を切っている人しか出場できない大会だったんですが、少々サバを読み……。でも、出てみたら「98」。それが初めての100切りでした。そのご褒美で、父が焼き肉に連れて行ってくれたことも覚えています。

――そこからプロゴルファーへの道へ……。

もともとプロのアスリートになりたいと思っていたんですが「ゴルフだ」と思うようになりました。

――練習は厳しかった?

中3から井上(透)コーチのところに通いましたが、井上さんは「真っすぐだけじゃなくて曲げられるようになりなさい」と言う人で、すっごく大きなスライスを打ったりドローを打ったり。遊び感覚でやらせてくれて、とんぼのゴルフに通じるところがありました。

――井上コーチといえば理論派のイメージですが。

ええ。でも、遊び感覚のなかでも「手をこうすると、なぜ球がこう曲がるか」と理論も教えてくれたんです。ただし、聞けば教えてくれるというスタイルで、彼から言ってくることはないんです。井上さんの人柄なのかな……あれだけの理論がありながら「気持ち悪かったらやらなくていいよー」とか平気で言うし(笑)。

――ちなみに、「オーイ! とんぼ」のなかで好きなシーンは?

それはもう自分(成多美寿々)が出てきたところですね。漫画のなかで私が優勝したタイミングで、実際に私も優勝(2017年7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」)したじゃないですか。

――7月30日が大会最終日で、8月1日に発売された「週刊ゴルフダイジェスト」の「オーイ! とんぼ」で、成多の優勝シーンが掲載されました。

成田美寿々の優勝の2日後に、成多美寿々も優勝!
印象に残ったシーンは「もちろん自分のシーン(笑)。全国で発売されている雑誌の漫画に自分が出ているなんて、という感慨もありました」(成田)

優勝の際、古沢(優)先生描き下ろしの「優勝おめでとう」メッセージ入りイラストをいただきました。このイラスト、私が優勝してなかったらどうなったんだろうと思いましたよ(笑)。

――実は、3日目で成田プロがトップに立った時点で「漫画と現実のダブル優勝があるかも」と、古沢先生に急遽イラストをお願いし、徹夜で仕上げてもらいました。

ありがたいですね。

――先ほど、遊びながらゴルフをやってきた話が出ましたが、今もゴルフは楽しいですか?

ゴルフを始めた当時は、どんどん上達するのが楽しくて、試合で友達に会えるのがうれしくて。プロになったらゴルフでお金がもらえると、うれしくて。でも、いつしか楽しむことを忘れてしまって。上手くならない、苦しい、つらい、ゴルフをやりたくない。そんな気持ちにもなりました。でも、楽しみながらゴルフをしようとポジティブな気持ちにもなって……その思考のループを4周くらい繰り返して、今はまた「楽しまなきゃ損だ」と思えるようになっています。

――ハードなお仕事ですよね。

最初は、好きなゴルフでお金が稼げて最高と思っていたのに、予選落ちするようになると、こんなに頑張って給料ゼロ円。そんな仕事ほかにある? と。

――自分やスタッフの経費などもあります。

プロゴルフは華やかな世界だけれど、厳しい部分も大きいですから。

――とんぼだって、島を出てからは楽しんでばかりじゃいられなくなる。

そもそも島を出るシーンが泣けて泣けて。でも、とんぼは新しい世界に一歩踏み出した。私で言ったら、プロゴルファーになったこと。これが最初の大きな決断だったし“勇気の一歩”でもありました。

――成田プロの熱いトークの続きは、後編でご紹介します。

>>後編へつづく

成田美寿々

1992年生まれ。千葉県出身。JLPGAツアー13勝。生涯獲得賞金は5億5210万2462円で、同賞金の5億円突破はJLPGAで30人目。プレーオフに強く5戦4勝、勝率80%

週刊ゴルフダイジェスト2024年3月26日号より

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