【PGAツアーHOTLINE】Vol.41 ザラトリスにトム・キム。 ツアーを盛り上げる新星たち
PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第41回のテーマは、次々と現れる若手の注目株について。
ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos、Tadashi Anezaki
東京オリンピックの金メダリスト、ザンダー・シャウフェレは言います。
「僕は28歳ですが、ツアーでプレーしているとすごく年寄りになった気がします。若手がどんどん優勝するので刺激を受けます。ここで戦うモチベーションになる。だから若手にありがとうと言いたいですね」
シャウフェレが刺激を受けたひとりは、間違いなくウィル・ザラトリスでしょう。松山英樹が優勝したマスターズで2位に入り、今年は5月の全米プロでジャスティン・トーマスとプレーオフを戦い敗れたものの2位。全米オープンでも2位タイに入り、PGAツアー本格参戦2年目にして中心メンバーのひとりになりました。
そして参戦54試合目にして念願の初優勝の瞬間が訪れます。しかもプレーオフシリーズ初戦のフェデックスセントジュード選手権の勝利だったため、一躍ポイントランク1位に躍り出ました。
ところが続くBMW選手権でケガを負い、椎間板ヘルニアと診断されツアー選手権を欠場。年間王者のチャンスは水泡に帰し、ライダーカップ出場の夢も叶いませんでした。
ザラトリスは言います。
「もう2度とこんな思いをしたくないので医師の言うことをしっかり守ります」
終わりは少し悲劇的でしたが、ザラトリスが21-22シーズンの台風の目だったことは間違いありません。
その彼と入れ替わるようにスターダムにのし上がったのが弱冠20歳のトム・キムでした。8月のウィンダム選手権でツアー初優勝したときも注目度は高くありませんでしたが、プレジデンツカップでの気迫溢れるプレー、新シーズン3戦目で2勝目を挙げ、21歳になる前に複数回優勝を飾ったタイガー以来の選手となり、注目度は増しました。
マキロイらビッグネームとキムやザラトリスなどの新星がPGAツアーのストーリーラインを彩ったのが昨シーズンの特徴でした。
22年の初めは世界ランク131位だったキムが、今や世界ランク14位まで上りつめています。「20歳の僕がPGAツアーでプレーしています。疲れなんて知るわけがありませんよ。5歳児がディズニーランドで遊んでいるような感覚です」(キム)
22-23年シーズンも新たなスター誕生の予感がします。
トム・キムは、終盤戦の活躍もあってプレジデンツカップメンバーに滑り込み。その勢いのまま、世界選抜でも主役級の活躍。まだ20歳とは思えない存在感を見せた
コーリー・ヨシムラ
PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前
週刊ゴルフダイジェスト2022年12月13日号より