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【名手の名言】ハービー・ペニック「テイク デッド エイム」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は全米初のティーチングプロとして数々の名手を育て上げた名伯楽、ハービー・ペニックの言葉を2つご紹介!


テイク デッド エイム
(Take dead aim)

ハービー・ペニック


トム・カイトやベン・クレンショーを育てた名コーチとして知られるハービー・ペニック。その彼が、全米女子オープンのプレーオフに臨むベッツィ・ロールズに宛てた電報に記したのが「Take dead aim」という言葉。

ひとたびボールに対してアドレスしたら、その瞬間だけは、そのボールを打つことが人生で最も大切な事柄になる。あらゆる思考をシャットアウトし、ターゲットを決めたら、そこだけにしっかりと狙いを定める。スウィングのことも考えず、ボールをどこに運びたいかだけに集中する。

この教えを守ったロールズは、見事にプレーオフに勝つのである。

「Take dead aim」は「take aim」(狙いを定める)に「dead」という形容詞が挟まったフレーズ。「dead」には「死んだ」という意味もあるが、ここでは「真っすぐ」「正確に」という感覚が近いだろう。「ど真ん中」を「dead center」と表現するのと同じニュアンスだ。

「“死ぬ気で”目標を定めなさい」という訳もあり、”dead”から連想された誤訳だとする向きもあるが、それぐらいの気持ちで集中しろという意味で、言い得て妙な気もする。

いずれにせよ、ゴルフはボールを目標に対していかに正確に運んでいくかを競うゲーム。決してスウィングの形の良しあしを競うコンテストではない。ひとたびアドレスに入ったらスウィングのことをあれこれ考えず、ターゲットだけに集中せよ、というのは100年前から変わらない真理のひとつといえるだろう。


子供のパットにOKはない。
完全にホールアウトさせることだ

ハービー・ペニック


普段のラウンドでの50センチのパットは何でもないだろうが、例えば競技で勝利がかかったときは、それが一変する。その50センチが1メートルにも2メートルにも変身するのだ。

実はこれがゴルフの最大の魅力といっていい。300ヤード飛ばす醍醐味もゴルフの魅力のひとつではあろうが、直接勝利の掉尾を飾るのはパッティングである。

子供にOKパットを出し続けるということは、そのゴルフの最大の魅力を奪うことになるし、また50センチのパットを打たずとも、“打ったことになる”ことを頭に刻み込みこませる。そうなると現実に向かい合うことにはならない。

もしその子供が大きな競技大会に出場することになったとき、ショートパットに対する不安が芽生えることにもなりかねない。

子供に対しては、どんなホールでも必ず最後のパットまで打たせることを、ペニックは鉄則とした。なぜならそれが「ゴルフ」なのだから。

ジュニアを教えるインストラクターには至言といえる言葉だ。

■ハービー・ペニック(1905~1995年)

バイロン・ネルソンらとツアープロとして活躍したあと、全米初のティーチングプロとなる。テキサス大学のゴルフ部コーチを長く務め、同校を全米屈指の強豪校に。トム・カイト、ベン・クレンショーらを育て、多くの男女ツアープロに多大な影響を与えた。

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