【キミこそ王子だ】Vol.286 四国ジュニアチャンプは北海道出身。OB知らずの“曲がらない男”
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、前回に続き香川県の四国学院大学香川西高校のゴルフ部から、北海道出身、高校3年の山本詠太くん。曲がらない球を武器に、「四国ジュニア」を制したスウィングを武市が解説。
今回の王子候補
山本詠太くん
やまもと・えいた ●主な戦歴/2022四国ジュニアゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア/66(北条CC) ●練習/毎日400球 ●トレーニング/7キロのランニング、筋トレ、体幹、坂道ダッシュetc.
四国学院大学香川西高校ゴルフ部は全国屈指の強豪校ということもあり、各地から優秀なジュニアゴルファーが集まっている。3年の山本詠太くんもそのうちのひとりで、出身は北海道札幌市だが、高校進学と同時に故郷を離れ、香川で寮生活をしている。
「どうして北海道を出ようと思ったの?」
「北海道は小祝さくらプロや片岡尚之プロなど、強い選手もいますが、全体的なレベルでいうと、まだまだなんです。やっぱり冬にラウンドできないので……」
「香川を選んだのはなんで?」
「全国大会で、軍馬くん(前号で紹介した同級生)と出会って仲良くなりました。それで、『一緒に団体戦で優勝目指そう!』と誘ってもらったのがきっかけです」
「実際に来てみてどう?」
「うどん県なのでラーメン屋さんが少ないのと、虫が大きいのがちょっと(笑)。でも、一年中ラウンドできるのが、ほんとうにありがたいです」
慣れない場所で生活するのには苦労があっただろう。しかしその甲斐あり、詠太くんは今年の「四国ジュニアゴルフ選手権」で優勝を果たした。
武器は、とにかく曲がらないこと。
「僕は飛距離が出るほうではありません。全国大会に行くと、毎回セカンドオナーです。でも、方向性には自信があります」という。
しばらくスウィングを眺めていた武市も「ホント曲がらないわ。球筋はやや高弾道のドローで狙ったところに点で攻められるのが強みだね」と称した。
「最後にOBを打ったのはいつ?」との問いに「う~~~ん。いつだっけ?」と、しばらく記憶をたどっていたが、なかなか思い出せなかった。
そんな彼のスウィングを武市は次のように解説した。
「香川西高校のゴルフ部は、トレーニングの一環で、学校から7キロ先の練習場まで走って通っているんだよね。だから部員はみんな足腰がしっかりしている。詠太くんも例外ではなく、そのことが曲がらないスウィングを作っているといっても過言ではない。手先を使わず、下半身の筋肉を主体にしてスウィングしているから、自然なスウィング軌道になるよね」
詠太くんも「クラブと体が同調することを心がけている」という。
「リズムも一定だけど、それは意識しているの?」
「飛距離は欲しいですが、振りすぎるとリズムが崩れるので注意しています。あと調子がいいと歩くリズムが速くなるので、できるだけ一定になるようにしています」
「スバラシイ! 手先を使わず大きな筋肉を使い、同じリズムでスウィングする。そりゃ曲がらないわけだわ。稲森佑貴プロしかり。こういう選手はメジャー大会とか、マッチプレーに強いよね。これからが“でら”楽しみだわ」
卒業後は兵庫県の大学に進学予定の詠太くん。
「兵庫はラーメン店もたくさんあるから。楽しみながら上を目指してね」
とエールを送る武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2022年11月22日号より