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【頑固オヤジ】Vol.157「“極太グリップ”ってアリ? ナシ?」

東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「サイトライン」について。

ILLUST/Kochi Hajime

前回のお話はこちら

Q. グリップを極太にすると
どんなメリットがあるの?


「日本プロ」で優勝した堀川未来夢プロは、グリップの下巻きを増やして“極太”にしているそうですが、どんなメリットがありますか? また、効果的に太くする目安はありますか? (39歳・HC14・自営業)


収まり具合は人それぞれ

9月に入ったら、猛暑日はなくなったけど、まだまだ暑いな。台風が過ぎたら、だんだん涼しくなるのかね。

「オヤジさん、グリップは太いほうがいいんですか?」

担当さん、今回は自分も興味がある内容の質問が届いたらしい。

「堀川未来夢プロのグリップが極太なんですが、そのメリットを知りたい、という読者からなんですけど、そもそもグリップの太さはどう選べばいいんですか?」

市販クラブに純正で装着されているのは、男性用でM60サイズが標準だな。

「でも、シニア向けの軽量クラブとかは細いものがありますよね。体力で考えるのか、手のサイズによるのか、よくわかりません」

「ああ、ゴルフ雑誌の編集とかしていると、いろいろシビアに考えちまうんだな(笑)。難しいことじゃねえよ、スウィングしてグリップが緩まない、滑らない太さなら多少アバウトでもいいんだよ」

「あ……そうなんですか? 実は先日、極太グリップのクラブを打つ機会があって。で、結構結果が良かったんでそれから気になっていたんです」

「極太、ていってもテニスラケットほど太いわけじゃないよな。手の中に収まるサイズなんだよ。だから、打とうと思えば打てちゃう。堀川プロも、下巻きで増やした程度だろうからな」


「以前はテープ7重巻きで、現在はグリップ自体が極太タイプで2重テープだそうです」

手の小さい女子プロが、グリップが手の中に収まりきらないように見えていても上手く打ちこなすように、要は自分がしっくりくれば、太さは問題ないんだ。

シャフト部分を握って確認する

「でも、太いほうが手首の動きが抑えられて安定するとか、つかまりすぎのフックのミスが減るとか言われていますよね。シニア向けが細いのは、つかまりやすくするためでは……」

「一般論では、な。でも、グリップは太いとテコが利いて、小さい力で先のヘッドを回しやすくなる。それならよりつかまえやすくなるんじゃねえのかな?」

「えーと、それは……」

「な、太さ云々の前に、自分でどうグリップを動かしたいかが大事なんだ。それによっては太いも細いも、逆の効能になることがあるんだよ」

だから、自分に合う太さは、打ってみないとわからないというのも事実。

「ただ、自分のグリップの傾向を知る方法があるよ。グリップのすぐ下のシャフト部分を握ってみるんだ。ちょっと、やってみな」

「……なんか、細すぎて握りにくいですね。左手がかぶってきます」

「そう、それ。細くても普段と変わらず握れる人は、グリップの太さが影響しにくいタイプ。逆にお前さんみたいに、握り込んでいくタイプは太さで球のつかまり具合が変わりやすいんだ」

手首を使う、使わないとかじゃなくて、アドレス時の手の甲の向きでつかまり具合が変わるタイプと言ってもいい。

「太いグリップも短く持てば細い部分を握るし。コントロールショットのつもりで短く持つと引っかける、なんてのもお前さんみたいなタイプだな」

「あ、よくやらかします(笑)」

「だから、そういう傾向がわかれば、右手部分の下巻きだけ増やすとか、アレンジするんだよ。太くする方向では見つけにくいんだけど、細いものを握るとグリップのクセとか傾向がわかりやすい」

細いものを持つと握り込むタイプは、手のかぶり具合だけじゃなく、ハンドダウンになる傾向もある。太さを変えて影響が出やすいタイプだから、いろいろトライする価値はあるよ。

月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号より