【キミこそ王子だ】Vol.279 カタチよりもイメージを重視! プロテスト合格を目指す高3女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、東京都出身、埼玉栄高校3年生の髙野愛姫さん。167センチの長身を生かした持ち球はハイドロー。そのスウィングはすでにプロ級で、ヘッドの走らせ方が秀逸! と武市は絶賛。
今回の王女候補
髙野愛姫さん
たかの・あいひ ●主な戦歴/2022 日本女子アマ選手権7位タイ ●ベストスコア/65(嵐山CC) ●練習/平日200球、土日はラウンド ●トレーニング/週1、トレーナーのもとで筋トレ
15歳だった石川遼が国内男子ツアーでアマチュア優勝を果たした2007年。3歳だった愛姫さんはゴルフを始めた。何か習い事をさせたいと考えていた母親が、“遼くんフィーバー”を見て「コレだ!」と思ったのがキッカケだ。2年間続けて、芽が出なかったら諦めようと思ったらしいが「少し才能の片鱗を感じたので、続けさせました」とお母さん。
その直感は正しかった。高校3年生となった愛姫さんは、「日本女子アマチュア選手権」ほか、数々の全国大会で立派な成績を収める逸材に成長。
スウィングはさすがの一言。
「もうすでにプロっぽい」と武市。ゴルフの師匠は、韓国出身プロの草分け的存在、金愛淑(キム・エースク)さん。中学2年までは、思うような結果が出せず悩んだ時期もあったが、金プロと出会ってからスウィングも考え方も変わり、成績も伸びたのだとか。
「出会いって大事だね。金プロからは何を一番言われる?」
「カタチよりもイメージが大事、と言われます。練習も以前はあまり考えずポンポン打っていましたが、金プロに一球一球イメージしながら打つよう言われてから上手くいくようになりました」
「どんなイメージ?」
「番手ごとにボールの高さをそろえることをイメージして打っています」
「スバラシイ! スウィングを安定させようとするとカタチばかり気になってギクシャクしてしまう。でも、弾道をそろえることを意識すると、おのずとスウィングが安定してくるからね」
「はい」
愛姫さんは、勝負どころで飛ばしたいときも「腕を振る」とか「腹筋に力を入れる」とかではなく「芯に当てることを強くイメージ」するそうだ。
「愛姫ちゃんはレイドオフからのインサイドアウト軌道でハイドローボールが持ち球。ポイントはフォローで左ひじをたたみクラブを立てる動きが早いこと。インパクト後、手元が左腰を通過するときには、すでに立っている。頭も動いていないから、ヘッドがめちゃくちゃ走る! だから、球も強いし飛距離も出るんだね。中学生だと粗削りの選手も少なくないけど、彼女は高3なので、この打ち方で磨き抜かれている。確かに、金プロのおっしゃるとおり、カタチがどうのこうのという次元じゃなく、あとはイメージが重要になってくるんだろうね」と武市。
8月にプロテスト受験を控えている愛姫さん。でも気負いはない。
普段どおりラウンドするだけ、といい意味でリラックスしている。
「ほんとほんと。スウィングに迷いがないから、強いよ。イメージすることに好不調はないから。頑張って!」
「ありがとうございます」
“ゴルフな毎日”の息抜きは、ひとりカラオケという愛姫さん。また、プロテストが終わりホッとしたら「スケートに行きたい」とも話してくれた。吉報を祈る!
週刊ゴルフダイジェスト2022年8月9日号より