トップ選手でも、近年あえてクラブ契約をしない「契約フリー」の選手が増えている。メーカーの縛りにとらわれず、自分の使いたいクラブを1本1本自由に組み合わせられるメリットはあるが、選択肢が多いからこそ難しい面もありそう。そこで契約フリーの先輩“ヨコシン”こと横田真一に話を聞いてみた。

PHOTO／Takanori Miki、Tadasshi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa　THANKS／ YOKOTA GOLF BASE

ベストな1本を探すことができる

今年からクラブ契約がフリーになった原英莉花。自由に選べるがゆえに、試合での様子を見ると「迷っているのかな……?」と少し心配になってしまう。しかし、“フリーの先輩”横田真一は「メリットのほうが大きい」と話す。

「僕は契約フリーになってから1500本以上のドライバーを打ちましたが、それはもう楽しくて仕方ありません。だって、全部打てるんですからね」（横田）

そんななかで試合で使う一本を探すのは大変そうだが……。

「明確な基準があれば迷うことはありません。僕の場合は、まず見た目。かぶっているのは即排除です（笑）。そうすると、ある程度絞れてくるので、その後に結果。結果で大事なのは、もちろん飛距離ですね。契約フリーのプロはみんなそうやって最高のクラブを探しているんですよ」

【契約フリーのメリット1】
徹底的に自分に合うクラブを探すことができる
「自分に合う最高のクラブを探し続けられます。ただ、自分のなかで明確な基準がないと、迷ってしまうことも。僕は飛距離。飛ぶクラブを探すのは面白いです」

【契約フリーのメリット2】
体調の変化にも対応しやすい
感覚がシビアなプロの世界では体調の変化で感覚が狂うことも。そうなったとき、フリーであれば選択肢が多く、変化に対応しやすい

【ヨコシン流1W選びの基準1】
フェースはかぶっていないか?

打つ前の段階で多くのクラブは選択から外すという横田。その基準はずばり「かぶっていないか」。これがもっとも大事

【ヨコシン流1W選びの基準2】
ミート率は1.49以上か?

その後に実際に打ち、ミート率1.49以上の数値が出るかで判断する。データを見ながらクラブを選んでいく

契約フリーで成功している選手も多い

20-21年の賞金女王稲見萌寧も契約フリーで、コーチの奥嶋氏に相談してクラブを決めている。シーズン中でも替える頻度は多い。（左から、岩田寛＝タイトリスト「TSi3」、池田勇太＝スリクソン「ZX7」、高橋彩華＝テーラーメイド「ステルス」、稲見萌寧＝キャロウェイ「マーベリック サブゼロ」）

日ごとに違う1Wを使用
原英莉花はまだお悩み中?

ブリヂストンレディスでは、予選はヤマハ「RMX VD」ドライバーを使用していた原だが、3日目の朝の練習では別のクラブで調整をスタート。結局3日目はキャロウェイ「エピック MAX LS」、最終日はミズノ「ST-X200」と日替わり。まだ決めきれずに試している段階の様子

月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より