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パターのソールを浮かせて構えたらストロークが安定するってホント?

あなたはパッティングの際にパターのソールをつけるか、それとも浮かせるか、悩んだことはないだろうか。果たしてどちらがいいのか。プロに聞いてみた!

PHOTO/Shinji Osawa THANKS/松原ゴルフガーデン

解説/武田登行

豊富なアマチュアの指導経験を持ち、理論的なレッスンには定評があるスウィング研究家。松原ゴルフアカデミーのヘッドプロ

ソールを浮かせるメリットは意外に多い!

「個人的な感覚ですが、ゴルファーの9割以上はパターのソールをつけているんじゃないでしょうか。浮かせるという人は少数派だと思います」と言うのは、論理的なレッスンに定評がある武田登行プロ。ドライバーで打つ場合は、プロ・アマを問わずソールを浮かせて構えるという人は珍しくない。なぜパターの場合は少ないのだろう。

「その答えを見つけるには、ソールをつける、浮かせる、それぞれのメリットとデメリットを考えてみるのがいいでしょう。まずはソールをつけるメリットですが、これはフェース面が安定すること。ドライバーやアイアンと違い、パターの場合は打つ時点で目標がカップと、はっきりしています」

ドライバーよりアイアン、アイアンよりウェッジ、ウェッジよりパターと目標は絞られてくる。

「ターゲットが絞られてくると、それだけ方向性の精度が求められるので、フェース面がどこを向いているかが気になる。パターのソールをつけることでフェース面が安定するので、目標に合わせやすくなるということです」

【ソールをつけるメリット】
●フェース面が安定する

【ソールをつけるデメリット】
●テークバックの始動で力が入りやすい
●振り遅れやすくなる
●ダフりやすくなる

では、ソールを浮かせる場合はどうだろうか。

「浮かせるとヘッドがぐらぐらしてフェース面が安定しない人がいます。ドライバーの場合は、ターゲットも広いので気にならないかもしれませんが、パターの場合は気になる人は多いでしょう。これがパターでソールを浮かせる人が少ない最大の理由だと思います」

では、パターのソールは浮かせないほうがいいのだろうか。

「そうとも言えません。確かにフェース面が安定しないというデメリットはありますが、ソールを浮かせることにはメリットもあるからです。ソールをつける場合、テークバックの始動で力が入ることがあり、思わぬパンチが入ってしまったり振り遅れることがあります。でも浮かせて構えれば、ストローク中のグリッププレッシャーが一定になるので、ストロークがスムーズになります。またソールをつけた場合はダフりやすくなりますが、浮かせればダフることもありません」


【ソールを浮かせるメリット】
●グリッププレッシャーが一定になる
●肩でストロークしやすい
●オーバースピンがかかりやすくなる

【ソールを浮かせるデメリット】
●フェース面が安定しない

確かにメリットもありそうだが、それでもソールを浮かせて構えることには高いハードルを感じてしまうのだが……。

「いや、そんなことはないはずです。なぜならコースでは、多くのゴルファーが実際にソールを浮かせてパットしていますから」と武田プロ。どういうことだろうか?

ロングパットが苦手な人は
浮かせることを試してみよう

「コースでは多くのゴルファーがソールを浮かせている」という武田プロ。心当たりがないという人は武田プロに耳を傾けてみよう。

「ほとんどの人がソールを浮かせて構えるのは、“お先にパット”のときです」

カップから30センチ以内に寄ったときに「お先に」とカップインさせるときのことを思い出してほしい。無意識にソールを浮かせて構えていないだろうか。カップの周りを傷つけたくないというゴルファー心理が働くのも一因だろうが、この事実を知れば、ソールを浮かせることに対するハードルは一気に下がるはずだ。

「ハードルが下がったところで、改めてソールを浮かせるとどんな効果があるのかを説明しましょう。まずひとつめは手首がロックされることです。

手首を固定してボールを打つには肩でストロークするしかないので、ソールを浮かせると必然的に肩を使った振り子のようなストロークになります」

「ソールを浮かせると自然に手首がロックされます」

パターのグリップエンドを持って吊るすとシャフトは垂直に近づく。この状態からソールを浮かせてパターのライ角通りに構えるには手首をロックする必要があることがわかるはずだ

ソールを浮かせる効果はまだあると武田プロは言う。

「ソールを浮かせることによって無意識にレベルで振ろうとします。これはドライバーを浮かせるときと同じです。これにより入射角が安定するので、ボールの転がりが一定になる。ロングパットの距離感が合わないという人やボールが跳ねてしまうという人は、浮かせて構えることを試してみる価値があります。さらに言えば、そもそもソールをつけた状態だと、ボールの芯(赤道)とパターヘッドの芯の高さには、かなりの差ができてしまう。でもソールを浮かせることによって、その高さの差を解消することもできます。加えて、傾斜のあるグリーンなどでは、ソールをつけるとパターのヘッドの座りが気になることがありますが、これもソールを浮かせることによって解消できるのです」

では万人に合うのかというと、そうではないと武田プロ。

「最初にお伝えした通り、ソールを浮かせるとフェース面が安定しない人もいます。このデメリットを解消する手段は、体幹を使って打つか、気にしないことですが、そうは言っても気になるのであれば、マイナス面もあるので無理にやる必要はないでしょう。その場合は、練習ドリルとして採用すれば、体幹を使ったストロークを身につけられます」

ソールを浮かせるとボールの赤道をヒットしやすい

ソールをつけると、ボールの芯(赤道)に対してパターの芯はかなり低い位置になってしまう。ソールを浮かせことで、パターヘッドの芯の位置をボールの赤道にかなり近づけることができる。

「ソールを浮かせればヘッドの座りが気にならなくなる」

傾斜が強いグリーンでは、アドレスでヘッドの座りが気になることがあり、それがアライメントを狂わせる原因になるが、ソールを浮かせれば気にならない

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より