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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.3「貸しクラブで全日本6位!? 父のモットーは“テキトー”」

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

今回は、うちの父の話をしよう。二宮英二、58歳。家業である練習場『乃万(のま)ゴルフ』の経営者でもある。父も、ゴルフはまあまあうまい。いや、傍からみたら、かなりうまいと思う。全国でも強豪が揃う、四国アマで2回優勝、日本アマにも17回出場している。

なのに、1度もゴルフを教えてくれたことがない。仲が悪いわけじゃない。ゴルフの話は、よくする。でも、あーしろ、こーしろ、という指導は一切ない。父いわく「人のゴルフはわからん」。確かに、その通りかもしれない。父のゴルフは、ひと言で表すと『アバウト』。褒めるとすれば、チョー感覚派ということになる。

父がゴルフを始めたのは高校3年生。全日本ジュニアの予選にあたる関西ジュニアに出てみたら? と誘われたのが、きっかけだとか。

それまで、球を多少打ったことがある程度で、ラウンドはわずか5回。自分のクラブも持っていなかったそうだ。にもかかわらず、予選を難なく突破! その後、全日本ジュニアでも6位という、そこそこの成績を収めたのだ。ちなみに、決勝のスコアは151(78・73)。貸クラブでそこまで行ったジュニアは、後にも先にも父だけじゃないだろうか。

「そのとき優勝は誰だったの?」って聞いても「金谷多一郎さん? いや、湯原信光さんだったかな?」って記憶があいまい。

人のことをホント気にしないんだよね。

「あの時は、『あるがままに打て』って言われた。それならルールいらんやろ」だって。アバウトですねえ。

以前、誰かが父に聞いていた。

「どうやったら、うまくなれるんですか?」って。

その質問もかなりアバウトだけど。そしたら「ん? テキトー」って答えていた(笑)。

相手は、もっと真面目に答えて欲しかったみたいだけど、本人は真剣にそう思ってるんだから仕方ない。少しかみ砕くと、「ゴルフを難しく考えすぎ。考えるとスウィングはできない。余計力が入る。考えずに、純粋な気持ちでやったら、うまくなる」ということかな。

それはボクも同感。考えすぎると、体が動かないから。父は、周りがうるさくても平気で打つし、プライベートではスコアもつけない。いい意味でその“アバウト感”がうまくさせる。父を見てると、そう思う。余計なところに力が入っていない。特にグリップ。右手の人差し指が、外れているように見える。でも、これくらいがちょうどいいのか。グリップの力も、入りすぎるよりも、抜けすぎているくらいのほうが余計な力みがなくなっていいからね。

「右手はクラブを支えるだけ。人差し指と親指は外すくらいの感覚がアリです」


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+3。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2016年10月18日号より