「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、20-21シーズンでキャリアハイの成績を残した大槻智春プロ。JGTOの3部門で1位を獲得した大槻プロにそれぞれの数字の秘密を探っていきます。

ホスト／時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名／大槻智春

茨城出身。日大2年時にプロ宣言、ツアー1勝。20-21年、イーグル率、トータルドライビング部門で1位。一見強面だが優しく穏やか

時松　大槻さんとは10年くらい前、富村真治さんと光吉佑樹さんと4人でアジアンツアーのQTを受けに行ったときにご一緒させてもらいました。僕はファーストで落ちましたが。

大槻　僕はファイナルまでいって落ちたけど、その間、源ちゃんはずっとホテルの部屋でAKBのビデオかなにかを見ていたのを覚えているよ。

時松　はい。島崎遥香推しでした。高校を卒業したばかりで、その頃ってAKBの全盛期で、高校の野球部のヤツなんか握手会に行って、その後手を洗わずに手袋して学校に来てたぐらいでしたから。あのときはAKBを見てQTに落ちた心を癒していました（笑）。

大槻　源ちゃんはアイドル系が好きっていうのが印象として残ったんだけどね。

時松　僕の大槻さんの印象は、めっちゃ酒が強い人です。大槻さん、タイのホテルのプールでビール、ゴックゴック飲んでいたイメージがあります。

大槻　アジアンツアーのQTのアテストの場所にビールが置いてあったし、よかったよね。

時松　でも、最近の大槻さんの印象は違います。21年は僕のゴルフがボロボロだったから、一緒に回る調子のいい人のショットを見させてもらっていました。なかでも大槻さんのティーショットは、飛ばしにいったら飛ぶし、置きにいったらしっかりとポジションをキープできるし、本当にすごいという印象です。

大槻　僕の源ちゃんの印象もAKB好きから、パターが上手い人、になったよ。源ちゃんのパッティングのリズムがめちゃくちゃ好きだし。

時松　ありがとうございます。ところで20-21年シーズンはどうでしたか。

大槻　ロングシーズンだったので、初めは長いなと思った。でも中盤から終盤はメルセデスポイントランキングのこともあったし、賞金ランキングも上位を狙えたのでベストフィニッシュできればなと思ってやっていた。ただ後半戦に入ってくると、これだけ予選通過してずっと休みなしというのは初めての経験だったので、メリハリをつけるのが難しくなった感じでしたね。

時松　でも結局、メルセデスポイントランキングでトップになられました。主要9部門のスタッツをポイント換算したものですから、本当に総合的に優れたプレーヤーと認められた。素晴らしいです。スタッツとかは気にされますか。

大槻　データを見るのが好きだし、一応チェックはしています。気にしているのは、やっぱり平均ストロークかな。賞金ランキング上位を狙うのであれば、年間平均ストロークは、70台か71台は必要だと目安にする。逆に平均パット数はあまり見ない。パターが好きじゃないので。

時松　平均パット数は16位。でもこれはショットの乗った位置によって変わってきますから。

大槻　そうそう。ショットがバーディチャンスに着くことが多かったから、ファーストパットが入らない場合が多いというのはある。だからあまり参考にはしていないけどね。

時松　トータルドライビングが1位ですが、これは僕が先ほど言ったような大槻さんのティーショットのすごさの証明みたいなものですね。

大槻　トータルドライビングに関しては、ツアーに出たての頃からずっと取りたいと思っていたんだよね。フェアウェイキープ率は、マネジメント的にアイアンで打つこともあるからそこそこ上位にはいけるけど、ドライビングディスタンスに関しては上位にいこうと思ってもなかなかいけない。でも今年に入って少し距離が伸びたんです。

時松　どうしてですか?

大槻　45インチから46.75インチのドライバーを使って飛ぶようになった。

時松　本当ですか。僕は一時期47.5インチを試したことがあるんですけど、5ヤードくらいしか変わらなかったです。

大槻　僕はキャリーで15ヤード伸びた。でも秋に寒くなってきたとき、タイミングが取りづらくなったので、ANAオープンから45インチに戻したんだ。それまで長いクラブを振っていたから、短いクラブもシャープに振れるようになったのか、45インチでも距離が伸びていた。

時松　ベタですけど飛んで曲がらないコツってあるんですか。

大槻　う～ん、打ち方のコツっていうのはないけど、とりあえず僕は「左」か「右」かを決めて打ってはいるよね。たとえば左がOBで右が池であれば右側に打っていきますよね。「そっち（左）だけには行かせない」ようにすると思い切り振れる。

「右か左かをしっかり決めると、思い切り振れるしプレッシャーもかからずに打てます」（大槻）

時松　決め打ちするんですね。

大槻　そう。そのほうが視野が広くなるし、プレッシャーがかからずに打てると思うのでスムーズに振れます。

時松　なるほど。勉強になります。

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より