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【当たるも八卦当たらぬも八卦】Vol.69「漂流した軽石はゴルフ場のバンカーに最適か否か!?」

ゴルフを愛する気象予報士・森田正光氏による気象コラム「当たるも八卦 当たらぬも八卦」。第61回はゴルファーが苦手な「バンカー」にまつわるお話。

福徳岡ノ場っていったいどこ?

21年8月、関東から1000キロ以上離れた“福徳岡ノ場”で、大噴火がありました。福徳岡ノ場という名前を聞いたとき、変わった名前だと思いましたが、この場所を見つけた福徳丸という漁船の名前に由来しているそうです。

そしてこの噴火を聞いたとき、気象関係者が最初に気にしたのは噴煙の高さです。噴煙が雲のできる対流圏内、上空1万5000〜6000メートル以内なら、火山灰も雨と一緒に落ちてくることになります。ところがそれ以上高い空(成層圏)に昇ると、微粒子がいつまでも上空に漂って気候に影響が出てしまうのです。

91年6月に噴火したフィリピンのピナツボ火山のときは噴煙が2万5000メートル以上にまで達し、93年の日本の大冷夏や世界中の異常気象の原因と考えられています。

今回の噴煙は1万8000メートルくらいまで達したことが確認されています。量としては少ないとはいえ成層圏に火山灰が入っていますので今後も監視が必要でしょう。


硫黄島から撮影された福徳岡ノ場の噴火の様子

それにしても、その後にやってきた軽石にはびっくりしました。漁業や観光などに大きな悪影響が出ていますが、ここへきてこの軽石が農業や建築資材として利用できることもわかってきました。もちろん水で洗うなどの処理が必要ですが、農業の専門家によると通気性や排水性に優れていて土壌改良剤としてはうってつけだといいます。しかも軟らかくて、つぶすと砂のようにもなります。

であるなら、ゴルフ場のバンカーとして使えないかと思って調べると、ゴルフ場のバンカーには、決まりがあるわけではありません。ただしバンカーの砂は均一性を求められ、見た目も美しくないといけません。熱処理などの殺菌も必要ですし、想像以上に手間暇かけて作られています。

そもそも砂というからには、直径が0.1〜1ミリ程度の大きさでないといけませんが、漂着した軽石は粒が大きく、大きさも均一ではありません。また、バンカーの砂は水に沈みますが、軽石は水に浮きます。やはり軽石を砂の代わりにするのはバカな考えのようです。

森田正光

TBS報道番組「Nスタ」でお馴染み。監修した書籍『空の手帳』が人気。ツイッターは@wm_moritaで検索

月刊ゴルフダイジェスト2022年2月号より