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【PGAツアーエキスプレス】Vol.6 東京五輪でメダル争いのペレイラ“もうひとつの目標”

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第6回の注目選手は、チリ出身の26歳ギジェルモ・ペレイラ。

取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)

ギジェルモ・ペレイラ
1995年3月31日生まれ。2015年にプロ転向し、今年PGAツアーに昇格。チリ代表として東京オリンピックにも出場 (Photo by Meg Oliphant/Getty Images)

国を思う気持ちがモチベーション

ギジェルモ・ペレイラはチリ出身の26歳。ミト・ペレイラとして記憶している人も多いかもしれないが、“ミト”はニックネームで、ギジェルモが本名。彼は今年、コーンフェリーツアーからの昇格組としてPGAツアーでフルシーズン戦っている。彼の目標はもちろん、PGAツアーで優勝することなのだが、もうひとつ大きな目標がある。それは、故郷であるチリ、そしてラテンアメリカのゴルフ発展に貢献することだ。

「チリを含め、ラテンアメリカにとってゴルフはまだまだマイナーなスポーツだ。ボクはもっともっと、ゴルフをメジャーなスポーツとして認知してもらいたいんだ。同じチリ出身のホアキン・ニーマン、メキシコ出身のエイブラハム・アンサー、コロンビア出身のセバスチャン・ムニョスなど、他にも多くのラテンアメリカの選手がこれまでもPGAツアーで戦ってきた。これはすごく大きなことで、彼らも同じような気持ちを持っているはず。そう思う選手が一人でも多くいることは、すごく嬉しいことだね」(ペレイラ)

国のために戦う――。それは昨年、東京オリンピックという形ではっきりと示すことができた。「PGAツアーを知らない国民は多いが、オリンピックを知らない国民はいないからね。東京オリンピックに出場できたことは、ボクにとって間違いなく最高の経験だった」と話す。

「2004年のアテネオリンピック。テニスでニコラス・マスーがシングルスで金メダル、さらにはマスーとフェルナンド・ゴンザレスのコンビでダブルスでも金メダルを獲得した。当時ボクは9歳だったが、“国がひとつになる瞬間”をそこで体験したんだ。みんなが笑顔になり、なんてすばらしいことなんだと思ったよ。ゴルフがオリンピック競技に復活してから、僕はずっとこの光景を夢見て戦ってきた。結果はメダルには届かなかったけれど、SNSなどの反応を見ると、喜んでくれていたことがわかって、本当に嬉しかった。これまでに経験したことのない感覚になったよ」

ペレイラの夢は国に貢献し、多くのゴルファーを世界に輩出すること。優勝という個人の目標はもちろんあるが、常に“その先”を見据えている。「ボクがPGAツアーでプレーする意味は大きいと思っている。ツアーには今、チリ出身の選手が2人いる。ボクたちが活躍をすればもっと多く、チリ出身の選手がPGAツアーで戦うことができるだろう。ラテンアメリカ出身の選手も増えてくるだろう。そうなったとき、ボクの努力は報われたと感じるんだ。それまでは、どんなことがあっても、決してあきらめないよ」

月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より