【キミこそ王子だ】Vol.259 安定フェードの秘密は「右肩を下げないこと」日本ジュニアを制した逸材
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、神奈川県出身、川崎市立柿生中学校3年の萩生田みらんさん。正確無比なショットを武器に「日本ジュニア」のタイトルを勝ち取った逸材。そのスウィングを武市が解説する。
今回の王女候補
萩生田 みらんさん
●主な戦歴/2021 日本ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部優勝 ●ベストスコア/68(レイクウッドGC) ●練習/200~250球90分、パター30分 ●トレーニング/30分ラン&体幹トレ
5歳のとき父親と女子プロの試合を観戦し、上田桃子プロのファンになったことがきっかけでゴルフを始めた、みらんさん。小学校4年から、千葉県のゴルフアカデミー「フェイバリットゴルフインスティテュート」で実力を磨いてきた。
武市も過去に取材で訪れたことがあり、環境のよさに驚いていた。
「普通の打席だけでなく、アプローチグリーン、パッティンググリーン、バンカーもあって、すごく環境がいいところだよね。門下生は優秀な女子ジュニアばっかりだし、刺激になるよね」
「自宅(川崎)から千葉は遠いですが週末、可能な限りは通っています」
その努力が実り、8月に行われた「日本ジュニアゴルフ選手権(女子12~14歳の部)」で見事優勝した。
スウィングを見た武市は「めちゃくちゃうまい!」と絶賛。
安定したフェードで、曲がる気配が微塵もない。本人も「OBの心配はしたことがない」と正確性には自信を持っているようだ。
「テレビ番組でよくやっている的当てゲーム『ストラックアウト』をやったら、パーフェクト間違いなしだね!」
みらんさんに、スウィングで意識していることを聞くと、「右肩が下がらないようにしてます」と答えてくれた。そのために、アカデミーでは、手作りの超・超・超ロングティーにボールを乗せ、アイアンで打つ練習をしている。
「ボクも1メートルくらいのロングティーを作って練習したことがあるけど、けっこう難しいよね。右肩がちょっとでも下がったら、絶対、ボールではなくティーに当たっちゃう」
「そうなんです」
「右肩を下げないために、自分なりのコツはある?」
「左に振り切る意識を持つことです」
「さすが、日本ジュニアチャンプ! 曲げないためには、手とクラブを目標方向に対し真っすぐ出すことが重要だと思っている人も多いけど、それは完全なる誤解。手とクラブを真っすぐ出そうとすればするほど、右肩が下がる。そうすると手が前に出てフェースが開くから、真っすぐ打てない。やっぱり、真っすぐ打つには、みらんちゃんのように思い切って体の内側、要は左に振る意識が必要。そうすれば右肩も下がらないし、フェースローテーションも抑えられるから、軽いフェードとなる。彼女は目指していることと、方法がマッチしてる。すばらしい!」
タイトルを制した今、さらなるステップアップを目指し、飛距離アップに取り組んでいるのだとか。
「重いクラブと軽いクラブを交互に打ち、ヘッドスピードを上げる練習をしています」
「おお、いいね!! これで飛距離が伸びたら鬼に金棒だね」
「ありがとうございます」
とても礼儀正しく、練習でさえも1打1打気を抜かず丁寧に打つ、みらんさん。
「その真摯な姿勢が、もっとゴルフをうまくする」。そう確信した武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2021年10月19日号より