スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。

ILLUST／Shinichi Hoshi

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第8講　スロープレーをもう一度

①ゴルフはせっかちな人が多いよね
②最近の若者は案外プレーが遅い

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「プレーファスト」と言われて50年

いきなりオシャレなタイトルで始まりましたなあ。今回はゴルフのラウンド時間を考察します。一般的にはハーフ2時間10～15分程度といわれていますが、その時間にたどりつくまでには、いろんな経緯を経ています。

日本で最初に早くラウンドするようにと、大々的に言ったのは白洲次郎です。80歳の時（昭和57年）軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長になり、その時の彼の方針が「PlayFast」に。要は、早くやれ、という意味です。そのままTシャツとなり、今も旧白洲次郎邸の武相荘で発売されています。当時、軽井沢では田中角栄さんが、白洲と一緒に回っていたそうです。せっかち同士でうまが合い、1時間半ぐらいでラウンドしたそうです。

白洲次郎が、早く回れと言ったら、日本のゴルフ場は右に習え。続々とプレーファスト運動に参加しだしたのです。プレー時間短縮は、ゴルフ場側に取っても経営効率を上げる神の言葉。OKパットの推奨、OBは前進4打、乗用カートでインターバル解消、ピンを抜かずにパターを打つなどのルール改正で、プレーがスムーズになりました。でもそれって、ある意味、ゴルフをちゃんとやらせないってことですよね。

●タイトル

元ネタは山際淳司さんの「スローカーブを、もう一球」。雑誌GORO時代の先輩。生原稿盗み見して勉強しました。今回もかよ

真面目な人ほどプレーが遅くなる

ゴルフ場で一番渋滞するのは、倶楽部競技で月例などをやる日です。競技ゆえOKパットはなし。全員完全ホールアウトは、OKありと比べ、4人1組なら72打程、余計に打ちます。そりゃ時間かかりますわ。つまりカジュアルなゴルフをしないと、プレー時間は短縮できないのです。

こっちは残りの人生、「完全ホールアウト」のゴルフはしないので、スムーズなラウンドが出来るでしょう。そう思ったのも束の間、新しいスロープレーヤーが登場してきました。それは最近ゴルフを始めた若者たちです。

彼らの多くはネットや友達、サークル、スクールなど、同じレベル同士でゴルフをします。リーダーや指導者的先輩がいないラウンドは、一見平等に見えますが、臨機応変な動きに対応できません。

例えばOKパットも、率先して「オッケー!」と声をかける人がいないので、微妙な距離は遠慮して4すくみ状態。打つほうは、ひょっとしてOKと言われるかもと待ってたりして。早くやれっちゅ～の。

若者はマジメですから、初心者が崖下にボールを落としても、友達が小走りに崖に降りて、両手を広げセーフなんてやってます。「良かったね、セーフだ、打てるよ」って、お前、初心者の崖下ショットは無理だろ。

そういう時は、「オマケね」と言って、フェアウェイにボールを戻して、ノーペナで打たせないと。初心者に正式ルールを押しつけて、どないするねん。だから時間がかかるし、初心者は二度とゴルフやりませんよ。

ほかボール探しもきっちり3分やるし。OBなら白杭周辺を見て終わりでいい。隣のホールに打ちこんでも、現場から果敢に狙うメンタリティが理解不能。そんなボールは捨てて、こっち側で、ワンペナで打てばいい。しかも前の組が空いていても気にしないし、後ろの組を先に行かせるマナーも知らない。渋滞の先頭ってどうなってんでしょうかね?　それは「お前なんだよ～」と声高々に言ってあげたいっすね。

●渋滞の先頭

春日三球照代の「渋滞の先頭はいったいどうなってるの」ネタ。もうひとつは「地下鉄の電車はどこから入れたの」。昭和やね。考えると夜も眠れません。

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今月のまとめ

オーケー！ 俺のボールを拾ってくれ
プレーを急いだ男の性格を哀れんでくれ
人より早く回っても
スコアは変わらないぜ
だからスローなボギィにしてくれ
片岡義男チックな答えだねえ。

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月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より