Myゴルフダイジェスト

「目立たずに頑張りたい」手嶋多一がド派手な勝利でナショナルオープン2冠。52歳の野望とは?

山梨県のシャトレーゼヴィンテージGCで行われた日本シニアオープンは、01年日本オープン覇者の手嶋多一が、19アンダーの最少スコア記録で圧勝。2位との8打差も記録だ。

トリッキーなコースで持ち前の技が冴えた(PHOTO/Hiroshi Yatabe)

日ごろから「目立たずに低空飛行で頑張りたい」と話す手嶋は、この目立つ勝利について「頭を使わざるを得ないコースだった。こういうコースは好き。まずはフェアウェイキープを心がけました」

ドライバーを握ったのは18ホール中4ホールだけ。セカンドは落とし所をしっかり狙って攻めた。パッティングも見事コースにマッチ。「パターをオデッセイのピン型に替えた。ショートパットに不安があり、微妙なタッチが必要だったので直感です。グリーンは芝を残しながら速さも出していたので、逆目に負けないようストロークを小さめにパチンと打つようにしました」

手嶋といえば、練習しないプロとして有名だ。昨年より飛距離が伸びた理由を聞いても、「僕にもわからない。何もしていません(笑)。今年モデルのクラブがいいのかも。トレーニングもまったくしない。田舎者なので体が強いんです。練習しないのも体にはいいと思う」と煙に巻くが「好きなものを食べても遅い時間には食べない。宿泊ホテルでの練習はもはや習慣だし、試合の日はコースに着いたらそのまま練習に行き、20球打ってスタート。スウィングは何も変えていない。自分の振りたいように振っているだけ。ただ、テンポを変えないことだけ気をつけています。打ち急ぐのだけは嫌。テークバックで1度止まるくらいの感じです」と確立された“手嶋スタイル”がある。何もしないのではなく、そぎ落としてシンプルにしてきた。

ここからはレギュラーツアーが主戦場となる。「戦い方は何も変わらない。一生懸命やるだけです。今回の勝利で全米シニアオープンなどに出られると思うので、来年あれば積極的に参戦したい。米シニアに一度は挑戦してみたい気持ちがあります。まずは、レギュラーで最後のあがきをして、“目立たず”いきたいですね」

こっそり応援していきたい。

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月12日号より

こちらもチェック!

  • 一流と称される者には、自身のゴルフスタイルを確立するためのきっかけとなった転機がある。例えばそれは、ある1ホールの苦しみかもしれない。例えばそれは、ある1ショットの歓びかもしれない。積み重ねてきた勝利と敗北の記憶を辿りつつ、プロゴルファーが静かに語る、ターニングポイント。手嶋多一の場合、それは、自身の弱さと向き合った日本オープンでもあった。 TEXT/Yuzuru Hirayama PHO……
  • “24年もの”の4番ウッド「全然壊れてくれないんです(笑)」手嶋多一の14本
    PHOTO/Hiroaki Arihara プロの14本のクラブセッティングと、それらのクラブを選んだプロのこだわりを紹介する連載「プロスペック」。今回は、レギュラー・シニア両ツアーで活躍する手嶋多一のセッティングに注目! 手嶋多一てしま・たいち。1968年生まれ。福岡県出身。ツアー通算8勝のうち、国内メジャー2勝。レギュラーツアーで戦いながらシニアツアーにも出場。今季もさ……