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【頑固オヤジのクラブ工房】Vol.145「ウェッジのソール形状が多すぎる! どう選べばいい?」

東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「ウェッジのバウンス」について。

ILLUST/Kochi Hajime

前回のお話はこちら

Q.ウェッジのバウンス形状
どう選べばいいの?


ウェッジを買い替えたいんですが、ソールのグラインドの種類が多すぎて、どう選んでいいか分かりません。三日月形だとフェースを開きやすいでしょうか。選ぶポイントを教えてください。(34歳・HC14・会社員)


愛用ウェッジのソール傷を見る

オリンピックも海外メジャーも終わって、これからベストシーズンだ、ってのに、また緊急事態宣言とかで水を差されちまったな。

まあ、ゴルフは屋外スポーツだから、地元でやるぶんにはいいと思うんだけどな。

ラウンドが減ってくすぶってる人は、クラブを新調したりしてうっぷんを晴らしているのかな。

「読者からの質問です。ウェッジのバウンス形状の選び方が知りたいそうです」

担当さん、先日2回目のワクチン接種を終えたんだと。

「Fグラインドとか、いろいろ種類があるヤツだよな」

「ええ、三日月形とかソール幅が広いのとか」

「突き放すようだが、打ってみなきゃわからない、ってのが本音だよ、回答としては」

バウンス形状で豊富に種類があるのは、複数のプロの要望に応えたから。つまり、どれも優れた形状であることは間違いない。

「要は打ち方との相性。これを見極めるのは、プレーヤー自身でも難しいと思う。だから試しに打ってみるしかない、というわけさ」

担当さん、困り顔で食い下がってきたね。

「でも、たとえば構えやすい、とか安心感が出る座りの良さとか、多少は選ぶ基準があるんじゃないですか?」

「だから、それもショップの硬い床の上とかじゃなく、芝の上での座り具合、バンカーでの抜け具合とかが大事なんだよ」

「ウーン、やはりラウンドで試打ですか……」

「まあ、事前の判断材料はひとつあるよ。今使ってるウェッジをチェックすればいいのさ」


まずはライ角をチェックする

ウェッジのソール傷には、使い手の打ち方のクセがハッキリと残る。リーディングエッジ寄りに目立つようなら、要注意だ。

「ボール位置を右に置きすぎたり、クリーンに打とうとしてハンドファーストにしすぎたりしてると、刃のほうだけで地面に当たるようになる。これじゃ、どんなバウンスでも同じ。滑ったり、跳ねたりの機能が使えないからな」

バウンスを生かしたいなら、手元はボールの真上に右手甲のラインが来るぐらいでいい。

よく、地面に置いてリーディングエッジが浮くとトップしそうだからイヤ、とかいう人がいるけど、何言ってんだかな。浮いてるからザックリしないし、バンカーでも抜けるんだよ。

「で、フェースを開くとバウンスがより出っぱるから、バンカーではヘッドが跳ねて高く打ち上げやすくなるんだけど、これも人それぞれ。愛用のウェッジのソールを見れば、傷のつき具合で、そういったことが読み取れるんだ」

「じゃ、オヤジさんみたいなクラフトマンにチェックしてもらうのがいいわけですね」

「本当は、そのウェッジ自体のソールを削ったりライ角を直したりして、自分の打ち方に合わせるのが先。どんな特徴のあるウェッジが自分に合うのか、いい目安になるからな」

意外と気づきにくいのが、フェースを開いたときのライ角の変化。フェースを開くと、手元を低くしたくなるはずなんだが、ライ角が合っていないとフェース向きがしっくりこなくて、ミスにつながりやすい。

「それもソールの傷でわかるんですか?」

「当たり前だよ。極端にヒール寄りが傷んでいたら、バウンスを生かし切れていないはず。少しフラットに直すだけで、グッと抜けやすくなったりするんだ」

三日月形みたいにヒール後方を落としたほうがいいのか、残して跳ねやすくするのかも、まずライ角チェックしてからがいいよ。

月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より