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「パラリンピックでゴルフ競技を正式種目に」障害者ゴルファーの夢舞台創出へ

男女ともに日本選手の活躍もあり、大いに盛り上がった東京五輪ゴルフ競技。しかしパラリンピックでは、ゴルフ競技は開催されなかった。パラリンピックでの正式種目採用を目指す動きについて調査した。

THANKS/白鳳CC PHOTO/Yasuo Masuda

(左から)
小須田潤太さん(30)
東京五輪で走り幅跳び・100m走「義足TT63」出場。スノーボードで北京五輪出場も目指す。ゴルフ歴3年。平均96、ベスト88。「ゴルフも集中力が大事。スコアが数字で出るのが面白く、HCがあるので勝負ができます」
吉田隼人さん(38)
世界障害者ゴルフランク(WR4GD)36位。よみうりGCで働きながら、PGAティーチングプロB級の実技と筆記を突破、現在講習期間中。「ゴルフがあるから今、自分は頑張れます。健常者と障害者が同じ条件で競えるスポーツなのもいいですね」
山本篤さん(39)
義足の陸上選手の第一人者。走り幅跳び「義足T63」。北京・リオの銀メダリスト。ゴルフ歴6年。平均93、ベスト84。「過去の自分に立ち向かえることが共通する。幅跳びは6回飛べるしゴルフは18ホールある。途中で投げ出さない気持ちが肝心です」
又吉康十さん(27)
走り幅跳び「義足T64」の日本記録保持者。パリ五輪出場を目指す。ラウンド10回。平均120、ベスト113。「やればやるほど難しいところが面白い。思い描いたとおりのショットができたら気持ちいいのは、幅跳びと共通します」

ゴルフ競技にもパラリンピックの正式種目を目指す動きはある。ゴルフは老若男女が生涯楽しめるスポーツ。パラリンピックが伝える「共生社会」の実現にはもってこいだろう。そんななか、陸上競技のパラリンピアンたちがコースに出現。根っからのアスリートたち。250Y超えショット、1打への集中力など、随所で本領発揮、プレーファストで楽しそうにラウンドしていた。

そんな彼らと一緒に回っていたのが、義足のゴルファー初のPGAティーチングプロを目指す吉田隼人さんは、「皆、体幹がしっかりしている。陸上競技と基本的な動きは共通点があります。だから独学でも上手いんです。陸上は年齢的な限界があるけれど、ゴルフはお爺ちゃんになってもできるスポーツ。ゴルフがパラ競技になれば、皆さん出たいそうです」

吉田さん自身も、もちろんパラリンピアンを目指したいという。「東京大会で山本篤さんが走り幅跳びで自己記録を更新。それを見てすごくアツくなりました。篤さんは僕の1歳上ですが、アスリートにとって自分の記録を超えるというのは大事だしすごく大変なこと。それをあの大舞台でやってのけた。僕もベストスコアを更新するなど、限界はないという気持ちで取り組みたいと強く思いました」

飛ばし屋ぞろいのパラリンピアンたち。「皆、体幹がしっかりしているので回転スピードが出る。重心の意識がしっかりある。だから、まだ経験は浅いのに上手いんです」(吉田)

ロス五輪での正式種目入りを目指す

2019年1月からUSGAとR&Aが世界障害者ゴルフランキングを設定した。パラリンピックの正式種目になるには、世界ランキングがあることと世界選手権が恒常的に行われていることが絶対条件だ。

活動25年周年を迎え、障害者ゴルフを牽引する日本障害者ゴルフ協会の松田治子代表理事は語る。

「IGF(国際ゴルフ連盟)にある障害者ゴルフの組織が中心となり、2028年のロサンゼルス五輪での正式種目入りを目指す動きはありますが、コロナ禍で活動が止まっているのが現状です。クラス分けの問題などもあります。しかし、来年世界選手権が始まる予定もあり、我々も協力していきたい。今年8月、小山田雅人選手が欧州ツアーに招かれ、プロと同じセッティングのなかで試合に出場しました。こういった積み重ねだと思います」

国内では10月に日本障害者オープン(北海道GCライオンC)も開催される。チェックしてみてはいかがだろうか。

欧州ツアーに招待され2試合に出場した小山田雅人さんは義手のプロゴルファーだ(提供/日本障害者ゴルフ協会)

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月28日号より

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