【アイアン研究】第4弾「イメージ通りに球を操る」“アスリート&ツアー”系16選
PHOTO/Hiroaki Arihara、Tomoya Nomura
THANKS/ゴルフ倶楽部成田ハイツリー、フライトスコープ ジャパン
短期集中アイアン特集第4弾は、プロや上級者が好むアスリート&ツアー系アイアン。構えただけで弾道がイメージできて、打った瞬間に手に伝わる心地よい打感。適切なロフト角で球が上がり、スピンの利いたボールで狙った場所にピタッと止まる。そんな本格派アイアン16モデルを打ち比べた。
データ分析&解説/松尾好員
小誌「ヘッドデータは嘘つかない」でお馴染みのクラブ設計家。数多くのクラブを計測・分析中。ジャイロスポーツ主宰
試打&解説/鈴木悠介
2016年プロテスト合格。試合に出場しながらインドアスタジオ「千葉銀座CC」でレッスンも行う。千葉学芸高校出身
【計測方法】
鈴木プロのドライバーHSは48m/sで7番アイアンの飛距離は170ヤード。ボールはタイトリスト「プロV1」を使用し、弾道計測器「フライトスコープ」で計測。試打データは5球打った平均値。SS(スイートスポット)の広さは、わざと芯を外して打って判断した
顔よし、抜けよし、打感よし
まさにアイアンの王道
ジョーダン・スピース、キャメロン・スミスら、PGAツアーではすでに多くの選手が投入しているタイトリストの新「T100」に代表される「アスリート」&「ツアー」モデル。
「このカテゴリーのメインユーザーは1Wのヘッドスピードが50㎧以上のプロや上級者。7番で33度以上のロフト角がついていますが、これによって上級者にとっては避けたい“飛びすぎ”を抑え、ボールを止められるスピン量も確保しています。新しい『T100』は8番から下は軟鉄鍛造ですが、7番から上はより硬いクロムバナジウム鋼が使われており、球の弾き感がやや強め。そのため7番のロフト角を34度にして“飛びすぎ”を抑えているのかもしれません。またタングステンを内蔵したことで前モデルよりソール幅が狭いのに、スイートスポット位置は少し下がり、重心深度はほぼ同じ。これによって適正な打ち出し角とスピン量が得られるのでしょう」(松尾好員)
「操作性」「打感」重視ならこの8本
小ぶりでシャープな「アスリート」&「ツアー」モデル。かつては軟鉄鍛造のワンピース構造が主流だったが、最新モデルではステンレスやタングステンなどの複合素材を組み合わせ、上級者の求める打感や操作性を実現している。
タイトリスト「T100」
【ロフト角】34度
飛距離 | 171.9Y |
キャリー | 171.2Y |
初速 | 55.3m/s |
打ち出し角 | 18.6度 |
スピン量 | 6650rpm |
高さ | 34.2m |
さらにシャープになり抜けと打感が抜群
「前モデルの『T100』を使っているのですが、さらにシャープになって構えやすいです。抜けがメチャクチャよくて、爽快な打球音。芯を食ったときの打感は何とも言えず気持ちいい。ミスしたときとナイスショットの違いがはっきり分かる上級者向きのアイアンです」(鈴木・以下同)
コブラ「キング ツアーMIM」
【ロフト角】33度
飛距離 | 173.4Y |
キャリー | 172.7Y |
初速 | 55.8m/s |
打ち出し角 | 17.8度 |
スピン量 | 6725rpm |
高さ | 33.5m |
ネック周りが細めで操作性が高い
「シャフトがやや長めだが、軽くて振り抜きやすいので球のつかまりがいい。細めのネック周りと、トウ寄りに配されたウェートのおかげで操作性もいい」
テーラーメイド「P770」
【ロフト角】33度
飛距離 | 174.5Y |
キャリー | 173.6Y |
初速 | 55.7m/s |
打ち出し角 | 18.0度 |
スピン量 | 6416rpm |
高さ | 33.4m |
下め打点にも寛容性が高い
「このカテゴリーのテーラーメイドの3本のなかでいちばん打感が軟らかくてやさしいモデル。つかまりもよく、ソールのスリットで下めのヒットにも強い」
キャロウェイ「APEX PRO」
【ロフト角】33度
飛距離 | 176.2Y |
キャリー | 175.0Y |
初速 | 55.6m/s |
打ち出し角 | 17.0度 |
スピン量 | 6069rpm |
高さ | 31.4m |
シャープなヘッドの割に弾き感のある打感
「見た目はマッスルバックのようなシャープなヘッドで構えやすいのに、弾き感があって飛距離も出る。内蔵されたタングステンのおかげかやさしさもある」
キャロウェイ「X FORGED CB」
【ロフト角】33度
飛距離 | 176.6Y |
キャリー | 175.8Y |
初速 | 56.3m/s |
打ち出し角 | 19.3度 |
スピン量 | 6290rpm |
高さ | 36.4m |
ややグースネックで構えたときの安心感がある
「打感がものすごく軟らかい。打ち出しが高く、ソールの抜けもいいのでボールをコントロールできる。ややグースで安心感があって、芯を外したときの打感の違いもわかりやすい」
ピン「i59」
【ロフト角】34度
飛距離 | 171.7Y |
キャリー | 170.9Y |
初速 | 55.1m/s |
打ち出し角 | 16.8度 |
スピン量 | 6659rpm |
高さ | 31.0m |
安定した弾道で操作性も抜群
「ドロー、フェードが打ち分けやすく、飛距離のバラつきも少ない。スピンも程よく、弾道が安定している。小ぶりなヘッドでラフからも抜けがよさそう」
ピン「BLUEPRINT」
【ロフト角】34度
飛距離 | 165.3Y |
キャリー | 164.4Y |
初速 | 53.2Y/s |
打ち出し角 | 17.3度 |
スピン量 | 6558rpm |
高さ | 29.2m |
操作性がよく左のミスも少ない
「ヘッドが小さい分、操作性は抜群。つかまりすぎずにしっかり振れる。軟鉄にしては打感はやや硬めだが、ミスにも強く、スピンがしっかり入って止まる」
ピン「i210」
【ロフト角】33度
飛距離 | 170.1Y |
キャリー | 169.9Y |
初速 | 55.3m/s |
打ち出し角 | 21.0度 |
スピン量 | 6681rpm |
高さ | 37.8m |
打ち出しが高くスピン量も多い
「ビックリするくらい打ち出しの高い高弾道。スピン量も多く、高さとスピンの両方でボールを止められる。フェースはステンレスなのに打感はマイルド」
「高さ」と「スピン」で止めるならこの8本
軟鉄鍛造の一体構造はソリッドな打感はもちろん、スピンがしっかり入って、打ち出しが高いのも特徴。思い通りに球を操れる高い操作性と、狙ったところにピタリとボールを止められる正確な弾道を持ち合わせている。
タイトリスト「620MB」
【ロフト角】35度
飛距離 | 168.0Y |
キャリー | 167.4Y |
初速 | 54.6m/s |
打ち出し角 | 18.1度 |
スピン量 | 7040rpm |
高さ | 32.6m |
シャープな顔でネックからのつながりもいい
「マッスルバックならではの軟らかい打感。シャープな顔で構えやすさは抜群だが、ロフトが寝ているので、ハンドファーストで上から打ち込めないと思ったほど飛距離が出ない」
タイトリスト「620CB」
【ロフト角】34度
飛距離 | 169.6Y |
キャリー | 169.0Y |
初速 | 54.7m/s |
打ち出し角 | 19.9度 |
スピン量 | 6558rpm |
高さ | 35.2m |
打ち出しが高く強弾道で直進性も高い
「『620MB』よりややグースな顔。高さも出るし、低く打つこともできるので、球の高さがコントロールしやすい。『MB』より直進性が高く安定感があり、飛距離も少し出る」
テーラーメイド「P7MB」
【ロフト角】35度
飛距離 | 166.3Y |
キャリー | 165.9Y |
初速 | 54.2m/s |
打ち出し角 | 19.2度 |
スピン量 | 7041rpm |
高さ | 33.7m |
スピンがしっかり入り操作性も高い
「見た目は難しそうなマッスルバックなのに、構えるとふところの作りが上手く、つかまりそうな安心感がある。操作性がものすごくよくて、スピンもしっかり入って止められる」
テーラーメイド「P7MC」
【ロフト角】34度
飛距離 | 167.8Y |
キャリー | 166.8Y |
初速 | 53.7m/s |
打ち出し角 | 18.0度 |
スピン量 | 6413rpm |
高さ | 30.8m |
軟鉄の心地よい打感でミスにも強い
「コンパクトなヘッド形状でヘッドが返りやすく、球の打ち分けもしやすい。打感は『P7MB』よりもややしっかりしているが、よりやさしく、ミスにも強く、弾道が安定している」
ミズノ「JPX 921 TOUR」
【ロフト角】34度
飛距離 | 172.2Y |
キャリー | 171.7Y |
初速 | 55.6m/s |
打ち出し角 | 19.3度 |
スピン量 | 6683rpm |
高さ | 35.5m |
小顔なのに安心感のある顔つき
「小ぶりなヘッドだが、構えると安心感があって、打つと確実に止まりそうないい球が出る。芯を外すと打感は大きく変わるのに、それほど大きなミスにはならないやさしさもある」
ミズノ「Mizuno Pro 120」
【ロフト角】34度
飛距離 | 167.3Y |
キャリー | 166.8Y |
初速 | 54.3m/s |
打ち出し角 | 19.9度 |
スピン量 | 6761rpm |
高さ | 34.7m |
思い通りの球が打てる王道のマッスルバック
「抜けのいいソール形状で思い通りにボールを操れる。高さ、スピン量も文句なし。これぞマッスルバックという感じ。それなのにミスにもそこそこ強く、安定している」
本間ゴルフ「ツアーワールド TR20B」
【ロフト角】34度
飛距離 | 168.9Y |
キャリー | 168.6Y |
初速 | 55.0m/s |
打ち出し角 | 19.2度 |
スピン量 | 7020rpm |
高さ | 34.9m |
シャープな小顔で左右に打ち分けられる
「トップブレードが薄く、シャープなヘッド。ドロー、フェードが打ち分けられ、弾道も高い。スピンもものすごく入るのでしっかり止まる。悪いライでも抜けがよさそう」
ヤマハ「RMX 020」
【ロフト角】34度
飛距離 | 168.5Y |
キャリー | 167.3Y |
初速 | 53.6m/s |
打ち出し角 | 17.0度 |
スピン量 | 6129rpm |
高さ | 29.0m |
やや大きめのヘッドで安心感がある
「アスリートモデルにしては大きめのヘッドで安心感がある。リーディングエッジが削られているので、ソールが引っ掛かりにくく抜けがいい。芯も広めでやさしさもある」
週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より