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【ヘッドデータは嘘つかない】フェードで飛ばしたいアスリート向け「ツアーワールド GS プロトタイプⅠ」ドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回は本間ゴルフの『ツアーワールド GS プロトタイプⅠ』ドライバーを取り上げる。

ツアープロ御用達のスペックへ進化

今年1月に発売した『ツアーワールドGS』のテクノロジーを生かし、契約ツアープロの要望を盛り込んだのが『プロトタイプ』だ。『プロトタイプ』には2モデルがラインナップされ、主な変更点は、高初速かつ適正スピンを実現するべく、クラウンにカーボン素材を採用したことだ。今回紹介する『プロトタイプⅠ』は直進性を重視したタイプになっている。

さて、クラブ計測をしていこう。数値はすべて実測値になる。クラブ長さは45.25インチとやや長く、クラブ重量が306.3gとやや重いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体慣性モーメントが291万g・㎠とやや大きくなり、この数値だとドライバーのヘッドスピードが45㎧くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計になっている。

Point1 ライ角は56.5度とフラット
Point2 ネック軸周り慣性モーメントが6798g・㎤とやや小さい
Point3 フェース角が1.0度オープン

しっかり叩けるプロモデルヘッド

細部を見ていこう。まずヘッドだが、オーソドックスながらも横幅がやや広い丸型、かつヘッド後方が低いシャローバック形状なので、アッパーブロースウィングがイメージしやすい。そして、アドレスではオープンフェースで、しかもライ角度がフラットなので、球が左につかまりすぎるイメージを消したプロモデルといえる。

実際に試打したところ、1度オープンなフェースと56.5度とフラットなライ角によって、球を左につかまえすぎないイメージが出て、とくにハードヒッターはアドレスしやすくなっている。試打クラブは9.5度で純正シャフト『VIZARD FZ-5(フレックスS)』仕様。シャフトは軽いが適度なしっかり感もあって振りやすく、インパクトの再現性も高いと感じた。このクラブの一番の特徴は、ヘッドの重心深度が35.3mmと浅いことだろう。浅重心にすることで低いスイートスポット高さ(32.1mm)が可能になり、結果、比較的低スピンで打てるようになる。またドロー系弾道よりもフェード系弾道のほうがこのクラブのポテンシャルを生かせるように感じた。

インパクト音がやや高いと感じたが、やはりプロモデルなだけあって、ネック軸周り慣性モーメントがやや小さめ(6798g・㎠)で操作性が良く、最近の大慣性モーメントヘッドよりも球をつかまえやすい。またスイートスポット高さが低いので、低めのティーアップでもフェースの芯に当たるだろう。

リアルロフト角設定が9.4度と厳しく、かつ重心深度が浅いので、アベレージゴルファーにとっては中・低弾道になって難易度は高いが、ヘッドスピードが48㎧以上のゴルファーがフェード系弾道で打つと、効果的に低ロフト・低スピンを生かして飛距離を伸ばせそうだ。まさにアスリート向けの1本といえるだろう。

いまどき流行りの大慣性モーメントを狙ったモデルではなく、低いスイートスポット位置を狙ったヘッド。操作性と低スピンが特徴だ

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

本間ゴルフ

ツアーワールド GS プロトタイプⅠ ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月7日号より