【待ってろ、ウエハラ!】Vol.5 300ヤード超えの最後のカギは縄で左足をグイッ!?
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW
PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際GC
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第5回は前回に引き続き、飛ばしのスペシャリスト、小澤美奈瀬が熱血指導!
人間は身体的な限界を超える手前で、ちゃんとリミッターがかかるようになっているらしい。ケガをしたり、命を危険にさらしたりするリスクを避けるために、脳みそがブレーキをかけるんだって。俗にいう「火事場の馬鹿力」とは、ここぞの場面でそのリミットを超えること。
でもオレの場合、火事場じゃなくても馬鹿力を出してた。トレーニングでも試合でも、いまこの力を出したら体が壊れるかもってわかっててもやる。結果、両足のアキレス腱を切ったりしたけど、世界でも結果を残すことができた。
ゴルフだって規格外のパフォーマンスを出すためにはフツーにやっててもアカンやろ。小澤師匠の練習はフツーのことのほうが少ないけど……。
なんかまた今週もおかしなレッスンになりそうやけど、非常識は大歓迎。ゴルフも馬鹿力で勝つ! 待ってろ上原!
300ヤードを目指しさらなる特訓
さらなる飛距離アップのため、ティーチングプロの小澤美奈瀬が大畑に課したのは「ニャンニャンポーズ」だった。これで手首を柔らかく使う力感をマスターし夢の300ヤードまであと少し!
大畑 さすがにニャンニャンポーズはネタかと思ったけど、こんなに飛ぶとはね。スパーンと300ヤード飛ばしたら、上原も腰抜かすこと間違いなしやろ。
小澤 そこまで飛ばす人はなかなかいないですからね。
大畑 300ヤードまであと少し。もう飛距離を伸ばせる秘策はない?
小澤 欲しがりですね♡ これで最後ですよ。
大畑 やっぱりあるんや!!さすが師匠!
なにやらバッグの中身をゴソゴソと探る小澤。なかから取り出したのは、ムチ……?
大畑 いやいや、アメとムチってギャグやないか!
小澤 違いますよ~。ムチじゃなくて縄です。これも立派な練習道具ですから。ちょっと左足を出してください。
大畑 おぉ……。縄を左足に巻き付ける? 師匠、なんか縛り慣れてますね。
小澤 得意メニューですから♡ 縛った縄を私がグッと背中側に引っぱるので、ふらつかずにスウィングしてください。
大畑 引っぱり合いか。オレはそんなんでヨロけるような、もやしっ子じゃないですよ。
練習シーンを動画でチェック!
起き上がると芯に当たらない
自信満々でスウィングをした大畑だったが、小澤の引っぱる力が予想以上に強かったのか、上半身が起き上がり、絵に描いたようにフラつく。
大畑 そんなに思い切り引っぱるんか。
小澤 ダメですよ、こらえなきゃ。ニャンニャンポーズしすぎて、体幹もゆるんでいます。今みたいに、かかと側に重心が移って上半身が浮き上がっちゃうと、手元も浮いてちゃんと芯に当たりません。せっかく手首を柔らかくしてヘッドスピードを上げたのに、飛距離につながらなくなっちゃいます。
大畑 なるほど、オレのパワーが生かせないのは大問題。じゃあ、上体が起き上がらないように前傾角度をキープすればえいいの?
小澤 その必要はまったくないで~す。
大畑 そうなん? だってアドレスで作った前傾角度をキープしてって、よく聞くけど。
小澤 前傾角度はキープしなきゃダメです。でも、それを意識すると体の回転や手の振りが遅くなっちゃうんです。だから、この後ろの引っぱりに耐えられるようしっかり踏ん張ることだけ意識してください。そうすれば自然と前傾角度はキープされます。
大畑 体幹はしっかり、手首は柔らかくって加減が難しいな。
小澤 感覚は人によって違うから、どの力感で振ったらヘッドが速く振れるか自分で覚えておいてください。
大畑 理屈じゃないなら、振りまくるしかないな。
小澤 さすがアスリート。頼もしい!
ドライバー最後の総仕上げにと放った1打は、280ヤードの看板を越えてやや左へつかまった強い球だった。
大畑 これこれ、オレが求めてたのは! ついでに師匠、もう1つ聞きたいことがあるんやけど……。
さっきまでの頼もしさはどこへやら、モジモジと話しだした大畑の相談内容とは? 次回に続く!
【オオハタ’s MEMO】
前傾キープは意識せず
しっかり踏ん張ることを重視する!
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月17日号より