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「ひざのケガ」「妻のDV」10年間優勝から遠ざかっていた41歳グローバーの衝撃の過去

米ツアーのジョンディアクラシックで実に10年2カ月ぶりの優勝を果たしたルーカス・グローバー(41)。「また必ず勝てると信じていた」という41歳が辿った波乱万丈の人生とは?

09年の全米オープンでメジャー制覇を果たし、05年から11年にかけ3勝を挙げたグローバーは、怪我や家庭内の問題でここ10年表舞台から遠ざかっていた。12年に左ひざを負傷してから成績が振るわず、下部ツアーとの入れ替え戦行きを経験するなどシードぎりぎりの状態が続いていた。

さらに19年には妻クリスタさんが家庭内暴力で逮捕されるという事件が起きた。同年5月のプレーヤーズ選手権に出場していた夫が第3ラウンドで「78」を叩いたことに激怒。滞在先の宿舎でクリスタさんが「義母に襲われた」と警察に通報し、その直後グローバーが「通報は間違い。妻がおかしくなってしまったみたいだ」と電話をかけ直している。警官が到着したとき夫婦は口論をしており、グローバーと彼の母親の腕に裂傷が確認され、DVと薬物乱用の容疑で妻が逮捕起訴された。

「トーナメントでいいプレーができないと妻は僕を敗者だと罵り怒鳴りはじめる」とグローバーは事情聴取で語っていたが、その後クリスタさんはメンタルヘルスを取り戻し夫婦はいまも婚姻関係を続けている。

P・ミケルソンが50歳で全米プロを制覇。42歳のS・シンクが今季2勝を挙げるなどPGAツアーではベテランの活躍が目立っている。

「20代の頃よりむしろ調子がいいし効率よく課題に取り組めている。大変な10年だったけれど一点の曇りもなくまた勝てると信じていた。優勝なんてもう無理と言った人々が間違っていたことを証明できて本当にうれしい」。苦難を乗り越え家族と味わう勝利の美酒は格別だったに違いない。

19年は世界ランク69位まで復調したが、長い間、100位前後を行き来していた(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップ)

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月3日号より