【ゴルフ初物語 Vol.48】 1982年に発売された国産初の2ピースボールとは?
国産2ピースボールの先駆けといえばブリヂストンの「アルタス」だが、実は「アルタス」発売のわずか11日前に、国産初の2ピースボールが販売されていた。
2ピースボール全盛の時代へ
長い間、ゴルフボールの主流は糸巻きだったが、1972年に初の2ピースボール、スポルディング「エグゼクティブ」が誕生。それからわずか10年で、米国では約40%のシェアを占めるまでに急成長。メタルウッドの登場とともに「2ピースは飛ぶ」と日本でも人気となり、「トップフライト」「ピナクル」といった輸入2ピースが急激にシェアを伸ばしていった。
そんななか、75年2月から2ピースの研究に取り組んできたブリヂストンが、82年3月に満を持してリリースしたのが、特殊合成ゴムのコアと強化カバー「高反発複合樹脂」を採用した「アルタス」。発売されるや否や、「メタルと2ピースの組み合わせでもっと飛ぶ」という噂がゴルファーの間でたちまち広がり、生産が追いつかないほど人気となった。
だが、この「アルタス」から11日早く、3月10日に発売されていたのが早川ゴムの2ピース「ピンパンサー」。早川ゴムは1919年にゴム草履メーカーとして広島で創業。その後再生ゴムの用途開発へ事業転換を行い、現在では、建設用資材や住宅防音材、制振材など、建築・土木に関連する製品を生産し、地下道路、下水道、高層ビルをはじめ、あらゆるところで社会基盤を支えているが、73年から「ベンソン」のブランド名でゴルフボールの生産を開始。主力は練習用のワンピースで80年代初頭には年間約60万ダースの生産量で国内トップの実績を持っていた。
「ワンピースは初心者用のイメージ。腕が上がるにつれてワンピースから離れていってしまう。そんなゴルファーをつなぎとめておくために2ピースを出した」と当時の常務は語っている。各メーカーも追随し、数年後には2ピースが全盛の時代へと移っていった。
1982年3月21日に発売されたブリヂストン「アルタス」。「5番アイアンの距離を7番で」と、飛びを前面に打ち出し人気となり、ブリヂストンのボールで初めて国内シェアナンバー1の座に。発売当初1個600円
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月3日号より