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【ゴルフ野性塾】Vol.1687「ダフリは技術。ミスではない」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

「個人競技の成功に必要な

資質が怒りであるのは理解出来ました。ならば組織に必要な資質もあるのではと考えます。失礼承知なお願いですが、教えて貰えないでしょうか」
面識なき人の電話だった。
東京在住の私の友人を介しての電話だった。
29年間、一番多い年は年間58回、少ない年で年23回、講演の壇上に立った。
年365日の内、日本国内で過すは210日余り。
国外で過す日は150日前後。
その国内210日の中の58回はきつかった。
講演依頼は重複した。
依頼1番目を優先した。
塾生指導、大手前大学ゴルフ部員の指導、テレビ収録、ラウンド進化論の取材スケジュールを織り混ぜて講演依頼を受けた。
私は会場の雰囲気で語って来た。
講演テーマは「ゴルフが教えてくれたもの」だ。
講演内容が同じ時もあれば、異なる時もあった。
語る内容は雰囲気次第。
昨年の2月21日が最後の講演会となった。
その後、依頼者からの断りもあれば、私から断る事もあった。
コロナだった。
今年も依頼はあった。ただ、少なかった。収束すれば、と断った。
来年7月の依頼が来た。セント・アンドリュースの全英と重なっていた。断った。
昨日、電話掛けて来た方は5年前の東京フォーラムの講演を聞かれた方だった。野性塾のファンです、と言ってくれた。7分間、電話で喋った。
私は思う。
自分は喋り人間なのか、執筆人間なのか、と。どっちの方が合っているのかが今も分らない。
原稿執筆時、口述はしなかった。昭和59年、ペンを持ってから現在迄、原稿用紙への執筆は続く。
7分の後、理解して貰えたか、との不安生じた。
それでペンを持った次第です。
坂田塾生は同じ高校に進学するが、強き怒り持つ塾生1人いればチーム力は上った。
個人戦では負けても、団体戦で負ける事はなかった。
強き怒り持つ者は己への怒りも持てばチームへの怒りも持っていた。その怒りが団体戦のスコアを上げた。
塾の中でも1人の怒りが塾のレベルを上げた。
平成5年開塾の熊本、6年開塾の札幌、8年開塾の福岡、10年開塾の東海、11年神戸、12年船橋と6塾を開いたが、塾の怒り一番強かったのは熊本だった。
ジュニアの大会、悪いスコア出した者は先輩から叱られていた。練習の仕方が悪いと叱られた。後輩は先輩を怖れた。
慰め合う塾は戦いに弱かった。練習ラウンドのスコアが良く、試合のスコアは練習ラウンドよりも悪かった。
怒り持つ塾は逆だった。
一番怒り弱き塾は船橋塾であり、二番目は札幌塾だった。
この二塾は保護者も塾生も仲の良い塾であり、退塾者少なき塾だった。
結論を申せば、最初に閉塾したのは船橋であり、船橋からプロテストに通った者は2名。
札幌塾からのプロテスト合格者は4名。
やはり塾の中に怒りあるとないではプロになる者の数、はっきりとしていた。
組織のレベルを上げるには怒り必要と思う。
慰め合い、褒め合い、長所を見て短所を見ない組織は自己満足度高くなって行く様な気はする。
自己満足度高ければ組織の力は落ちるであろう。
コロナ禍、日本人の怒り少ない様に思うが、戦後の日本人の気質なのか。
特に政治家の怒り、稀薄であり、政治家への怒りも稀薄と思う。政治家同士の何でも賛成、何でも反対の保身力強き茶番劇は見飽きた、本物の政治見せてくれ、との気持ちを持ち始めた人、多い様に思うが、読者諸兄の気持ちや如何に。
私は見飽きた。
今日5月27日、木曜日。現在時、12時55分。
色異なる雲が幾重にも重なる。強き雨、降っては止む梅雨の空。
ヘリコプター2機、東から西へと飛んで行った。
女房殿は洗濯の最中。また雨降るのに大丈夫か、と思う。
明日、熊本でテレビ収録。
5週分を録るが、日帰りする。
体調良好です。

9Iならダフりて寄せられる。

アプローチがダフるようになってきました。以前はアプローチが得意で、寄せワンこそ自分のゴルフだと考えていましたが、いまはグリーンを外したらダフリの恐怖が頭をよぎります。ただ、イップスのように手が動かないとか、大オーバーしてしまうとかではありません。本当に手前の芝を噛んでしまうだけです。ダフリさえ出なければ、狙いどおり寄せられます。塾長、どうすればいいでしょうか。(兵庫県・匿名希望・57歳・ゴルフ歴33年・HC6)

ダフリ打ちは高級技術だ。
ダフリをダフリミスと見るか、意図した打ち方と見るかで自信は変って行く。
多くの方はクリーン捉えを最善理想とし、少しのダフリ、少しのトップをミスと考えておられる様だが、優先順位、許容の範囲を考えれば結論は出る。
トップとダフリ、どっちがスコアを崩さないかはダフリである。
トップにはグリーンオーバーのOBがある。
ダフリにOBはない。
ミスするのであればダフリがいい。
研修生時代、ゴルフ始めて6カ月過ぎた時、ダフリとトップ、どっちのミスがスコア崩さないかを知りたくてグリーン手前からのアプローチ、ダフリとトップ球をそれぞれ意図して打って打ち較べた事がある。
ダフリはホールアウトするのにダフリ、ダフリ、2パットの4打必要とした。
トップは5打要った。
グリーン奥からの逆目の返しをオンさせるのが難しかった。そして5打を必要とした。
ミスするのならダフリと思った。
そして、意図したダフリ球で寄せられる事を知った。
9アイアンで打った。
サンドウェッジで打つからダフリを強く意識すると思う。
9アイアンで打てばダフリ意識する事はなかった。
前方にバンカーのない時、9アイアンのアプローチを勧める。
ダフりて寄るのアプローチが出来ると思う。
体の動きのバランス崩れるとダフリは生じる。
だったら眼を閉じて打てばいい。
ダウンスウィングでの性急な腕の動き、抑える事は出来よう。
ダフリは技術。
ミスとは思わぬ事。
ゴルフは如何に単純に簡単に考えるかのゲームである。
ダフリミスはミスではない。
もっとダフれ。
まだまだダフリの数、足りていない。
以上です。

坂田信弘
昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月15日号より