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【キミこそ王子だ】Vol.249  数字よりも感性を大事にする軸ブレゼロのスウィング

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は兵庫県出身、滝川第二高等学校2年の仲間遼真くんだ。春に行われた全国大会でトップ10入りした仲間くんは、驚異のミート率の持ち主。その秘訣に武市が迫る?

今週の王子候補
仲間 遼真くん

●主な戦歴/2021全国高等学校ゴルフ選手権春季大会9位タイ ●ベストスコア/68(アオノGC) ●練習/毎日100~150球 2時間 ●トレーニング/ランニング5キロ(週3~4回)


仲間遼馬くんがゴルフを始めたのは小学校3年。父親と一緒に練習場に行ったのがきっかけだ。短くカットしたパターで遊びながら、父親の練習が終わるのを待っていたのだとか。そのせいもあり、遼真くんは今でもパットが得意だ。仲間うちでもパット名人として一目置かれている。

好きな選手はジョーダン・スピース。理由は「それほど飛距離が出なくてもPGAで活躍しているところがスゴイ。ボクもそんなに飛ぶほうではないので、共感できます」とのこと。

そんな遼真くんが練習の際、大事にしていることは「自分の感覚に耳を傾けること」だ。何球と数字でノルマを課すことはせず、“自分が納得する感覚で打てるまで”としている。究極、1球でそれが達成できれば、それ以上は打たない、ということだ。

「感覚だから、言葉にするのは難しいと思うけど……あえて言うなら、どんな感覚なの?」

「ボクは小っちゃいので、普通に振ったら体格の良い選手にはかないません。なので、軸を保ち、芯で当てることに重きを置いています」

実際にスウィングを見て、武市は次のように語った。

「まず、スタンスがキレイ。オールスクエア! こういう選手は、右にも左にも器用に打ち分けられるし、もっといえば曲がらない。そして、ドライバーからパターまで、スタンス幅が狭めで統一されている点もスバラシイ。もちろん、狭いのが正解というわけではない。松山英樹プロのように広くてもいい。大事なのは、統一されていること。多くのアマチュアはこの点を見過ごしがちなんだけど、遼真くんはどう?」

「アライメントスティック等も使わない派なので、そこまで気にしていませんでした。ただ、スタンス幅は狭いほうが軸を意識しやすく、体の回転速度を上げやすいので、そうなりました」

「飛ばしたいという欲が出ると、スタンスは広くなりがち。もちろん、体を安定させて、大きく振って飛ばす、という方法もある。ただ、いくら大きく振っても、芯に当たらなかったら意味がない、というのが彼の考え。それはボクも同感。スタンスを狭くして、軸をしっかりと保つことで正確性を、そして、体の回転速度を上げることでスピードを上げているわけだね。彼はゴルフのことも、自分のことも、よく理解している。とても理にかなったスウィングでいいと思う」

「ありがとうございます。ボク、小っちゃいんで……」

「さっきも、小っちゃいって言ったけど、身長どのくらい?」

「170センチです」

「こら! それは166センチのボクに失礼やわ(笑)」

「す、すみません」

「冗談、冗談。でも、遼真くんのスウィングは好き。これはホント。小柄“仲間”として、これからも応援するよ」

「ありがとうございます」

目指すは、夏の全国大会の優勝! ぜひがんばってもらいたい。

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月8日号より