【2035年のゴルフ界を変える】<後編>ゴルフ業界全体が一丸となって推進する。始めやすく、続けやすい環境づくりへの挑戦
週刊ゴルフダイジェスト
「ゴルフ界の大きな渦」にするべく動いた「ジュニアゴルフ成長支援プロジェクト」の内容について、前回に続き詳しく話を聞いた――。
THANKS /美浦GC PHOTO/ Tadashi Anezaki


井上透
いのうえ・とおる。1973年生まれ、神奈川県出身。アメリカでゴルフ理論を学び、中嶋常幸、佐藤信人、穴井詩など多くのプロを指導。08年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。東大ゴルフ部の監督として初心者レッスンにも尽力している
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- プロだけでなく、ジュニアからトップアマまで多くのゴルファーを指導してきた井上透が満を持して立ち上がった。ジュニアを「ゴルフ界の大きな渦」にするべく動いた「ジュニアゴルフ成長支援プロジェクト」の内容とはいかなるものか――。 THANKS /美浦GC PHOTO/ Tadashi Anezaki 井上透 いのうえ・とおる。1973年生まれ、神奈川……
「ゴルフに関わる全員の行動こそが、今、必要です」(井上)
選手育成において重要なことは3つあると井上。
「僕も一応コーチなので、『こういう打ち方が……』などと言いたいんですけど、この年代においては、そこはあまり関係ない。必要なことは3つ。できるだけ低年齢でゴルフを始められる環境づくり、十分な練習機会の確保、早期からの競技経験の蓄積、です」
また、これらを解決するためには3つのトライアングルが必要だ。
「石川遼プロとのイベントは『①知ってもらう』ためのもの。ゴルフは楽しい、と思ってもらわないと続きません。そして『②始める動機』。価格が安いと感じてもらうことです。実際、日本のジュニア料金は世界的にみてもかなり安いんですよ。でもこれから本プロジェクトでさらに価格を下げてもらいます。協賛会社を募って資金をいただき、そこから協力施設に資金を提供します。
練習場は2時間500円、ショートコース9ホール500円(ともに土日含む)、親がプレーしたら子どもは無料、この3つの柱です。これは他のスポーツと比べてもとても安いと思います。まずはジュニア人口が多い、料金が高いエリアで粘り強く交渉しています」
7月18日現在、42施設確定(8月からスタートする予定だ)。
さて、3つのトライアングルのもう1つは「継続してもらう」。
「好循環モデルに持っていくことが大切。『③継続してもらう』ための方法として『クイック9ツアー』を行い、競技のハードルを下げたい。たとえば関東で考えるとジュニアの大会会場まで遠いことが多い。片道3時間かかれば朝早く起きての1日仕事となり、ご両親もなかなか続けられません。1時〜2時スタートの午後ハーフを使い、9ホールの月例型スタイルのトーナメントを行います。コストも落とせる。
世界ジュニアチャレンジというポイント制の部、初めて出る層、親子やきょうだいでエンジョイする層と3つにカテゴリーを分けて開催予定です。試合参加でいいことは友達ができること。ゴルフって、学校で1人しかやっていないケースもあり、それだとつまらなくて続けたくなくなる。試合に出るとコミュニティづくりができ、継続につながります」
こちらは来年1月に、まずは関東圏からスタート予定。
「距離の負担を考えるとエリアごとで行うのが常識的。このあと、関西・東海エリア、上手くいけば九州や中四国にまで広げていけるといいですね」
さて、人数の目標設定もしっかりある。3年で「減少を止める」、5〜7年で「2015年水準」、10年で「2010年ピーク時の70〜80%回復」だ。
「効果測定も大事だと考えています。このプロジェクトを使うためには保険に入ることを必須とします。こちらはJGAのジュニア会員と連動したい。このため、現状は6歳からですが、年内もしくは年始から5歳に引き下げることをJGAにやっていただける予定です。そうすれば、人数の把握もきちんとできます」
始める動機

練習2時間500円
企業から協賛金を募り、協力施設へ補助を行い、子ども向けの利用促進政策を実施。「すでに、東京のハイランドセンター、横浜のハンズGC、アコーディアやPGM、ゴルフパートナーの練習場やショートコースなどは確定しています」
知ってもらう
イベント・SNSで楽しさPR
今後もプロを交えたイベントも継続的にやっていくと井上。「瞬間的な認知ではなく、継続してやり続けないと忘れられてしまう。SNSなどもしっかり使って、ゴルフの楽しさを発信したいです」

継続してもらう

クイック9ツアー開催
9ホールの月例「クイック9ツアー」をまずは関東エリアから実施。「日照時間もありますが、ナイター施設なども利用し、40〜80人の参加者で。岡部チサンCC、ムーンレイクGCなどで行うことが決まっています」
5歳からゴルフを始めた石川遼は語る。
「僕もジュニア時代に参加したイベントことは全部覚えています。そこでできた友だちもいます。このプロジェクト自体の認知度が上がっていって、子どもたちがよりゴルフに気兼ねなく取り組める環境ができればいいですね。
たとえばアメリカでは、名門コースの練習グリーンで日曜日のお昼くらいに子どもたちが走り回っています。日曜日のゴルフ場はメンバーさんが家族を連れてくる場所でもあり、こういったことは文化としてあるんだろうなと。でも、日本でも名門コースほど影響力も可能性もあるのではないかと思います。地域とも協力して子どもたちに練習グリーンを開放したり……
今回、都心の練習場さんが賛同くださっていることは大きい。子どもたちがゴルフから遠くなっていく理由には、金銭的な面、遠いなど物理的な面がある。でも、それぞれができることからやれたらいいですし、一人ではできないことも多くの大人たちがタッグを組んでやっていく。自分たちが楽しんでいるゴルフです。そのゴルフの50年後に対してできることがある。影響力があるところが動くとムーブメントにもなりますし」
現在、スポンサー企業も協力施設も絶賛募集中だと井上。
「皆にメリットがあることが大事です。子どもは楽しみながら仲間を増やし、保護者の時間、費用負担をなくし、親子で楽しむものとする。施設は稼働率を向上し、新規と将来的な顧客を創出する。スポンサーさんは子育て世代への認知だけでなく、社会貢献や将来のスターとの接点ができる。何よりゴルフ界の全員が同じ方向を向いていければいい。2035年のゴルフ界を変えるイメージで、皆さんの大きな力を借りて継続的に取り組んでいきたいです」
僕らも、全面的に賛同します!
プロジェクト顧問に就任した佐藤信人と田島創志。「娘はこの年齢の頃にゴルフを始めましたが、私が悪かったのか続かなくて。もちろん金銭面もあります。当時このプロジェクトがあれば参加したかった。いい循環になればなと思います」(佐藤)「長いことジュニアの指導をしていて、子どもたちが減っていることは肌で感じています。僕の長男は、この年代でゴルフを始めて楽しいという記憶はあるようですから、これらにつながるかな。ゴルフにいつ、どのように触れるかはとても大事です」(田島)


2035年のゴルフ界を変える!
「ゴルフは高いイメージ」をなくし、「もっと始めやすく、もっと続けやすい環境をつくる」ことが目的。「スポンサーメリットも考えていきます。プロジェクトを共につくるパートナーを募集しています」(井上)
週刊ゴルフダイジェスト2026年8月18・25日合併号より


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