【イザワの法則】Vol.69 自分の“基準”を持てば感覚の衰えをカバーできる
伊澤利光「イザワの法則」
プロのように普段からトレーニングをしていても、加齢による筋力や感覚の衰えは避けられない。競技人生の長いゴルフにおいて、プロはそうした感覚の変化にどう対応しているのか?
TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

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飛距離の低下率を
いかにゆるやかにするかを考える
ある程度の年齢になってくると、「若いときは簡単にできたのに」と思うことが多くなるのではないでしょうか。ゴルフで言うと、絶対的に衰えてくるのが飛距離ですが、これは仕方のないこととして受け止めるしかありません。なんとか昔の飛距離を出そうとして、無理に振り回したりするとケガの原因になりますから、やめたほうが無難。
ただし、飛距離の落ち方をゆるやかにすることはできます。年齢を重ねることで衰えるのは、筋力より可動域です。要するに体が硬くなるということですね。それでスウィングが小さくなって飛距離が落ちるわけです。
普通のアマチュアの方にとって、「飛ばしたければジムに行ってトレーニングしろ」というのはなかなか難しいと思いますが、自宅でもできるストレッチを毎日続けるというくらいなら、なんとかなるのではないでしょうか。
とくに肩甲骨周辺と股関節は、できるだけ可動域を保つことが重要です。それから、クラブセッティングを見直すというのも、大事な飛距離対策と言えます。競技に出るような人は別として、アマチュアは意外にフィッティングを受けずに、自分の好みだけでクラブを選んでいる人が多いようです。
ドライバーの重さやシャフトの種類、フレックス、ロフトなどを自分のスウィングに合ったものにするだけで、飛距離をキープするどころか、アップすることもできるかもしれません。
距離感の正体は
感性ではなくスウィングの再現性
もうひとつ確実に衰えるのが「目」の機能です。
人間には目から入ってくる情報によって、体(とくに手足の筋肉)の動きを勝手にコントロールする機能が備わっているといいます(“hand-eye coordination”、たとえば、野球でピッチャーが投げたボールを目で見ると、それを打とうとバッターの体が反応する、あるいはバスケットボールでゴールを目で見ると、正確にその距離のシュートを打てるといった機能のこと)。
ということは、視力が落ちると、体の反応も鈍くなるということで、ゴルフだとアプローチの距離感とか、パッティングのタッチやラインが合わなくなるといった影響が考えられます。
ただこれも、普段から「感覚任せ」にしていることが原因のひとつなので、自分の中で一定の基準を作っておけば、それほど急に対応できなくなるということはないはずです。アプローチなら、腰から腰の高さの振り幅で何ヤード飛んで、どのくらいで止まるのか、パターなら両つま先の外側までの振り幅で、いつも回るコースのグリーンならどのくらい転がるのか。
そういう「基準」を持っておくと、「今日のグリーンは速いから振り幅を抑えて、普段より手前にキャリーさせよう」といった調節もできるようになるわけです。
何も「手の感覚」が優れている人だけが、アプローチやパターが上手いわけではありません。普段から、基準の距離の再現性を高める練習をすることは、ゴルフ感覚を衰えさせないことにもつながると、強く思っています。

「感覚任せ」はやめよう!
打球感覚を鋭敏に保つために、伊澤プロがすすめるのが「両手で」、「ゆったり振って」、「30〜50Yくらい打つ」練習。スウィングの力感やクラブ軌道、フェースの向き、ボールコンタクトなどがよくわかるので、すべてのショットの基礎になる

伊澤利光
1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中
月刊ゴルフダイジェスト2026年8月号より


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