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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.910「基本練習を繰り返すことで得意なショットが生まれます」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


先日、先輩から「苦手な場面が来たら確実に飛ばせる決め球を持っていたほうがいい」と言われました。 一度はクラチャンになりたい52歳ですが、今から「決め球」を作るというのを岡本さんはどう思いますか。 (匿名希望・52歳・HC3)


プレッシャーのかかった緊張の局面を切り抜ける決め球があれば頼りになりますね。

決め球ですが、その正体ってなんでしょうか?

ご質問の中に、持ち球を持てとアドバイスした方が「どうしても曲げたくないときには、ヒール気味に当てて、飛ばないが曲がらない球を打つ」と話してくれたとありますが、自分自身にとって、どんな球筋のショットが決め球になるのでしょうか。


結論から申し上げますと、同じ状況に出合うことがないゴルフという競技の中で、決め球を作るという考え方は得策ではないと思います。

どんな名選手と呼ばれたゴルファーであれ、百発百中で思い通りのショットを放つことはできません。

必ずミスをして失敗に泣き、自分のボールの行方に頭を抱えることになる、それがゴルフなのです。 その確率と失敗の競技にあって決め球という考え方はありません。

そんな局面での正しい心構えとしては、目の前にある追い込まれた状況にいかに対処するかが大切なことです。

逆に絶対に曲げたくないというシチュエーションでヒール寄りで打って、距離は出なくても曲げずに飛ばすショットは、かなり高度なテクニックでプロでも難しいと思います。

もちろん、プロはこの種の技術に関して日頃から練習の中でさまざまな打ち方を試したり、繰り返し打ち込んで腕を磨いているので、試合でどうしても曲げたくない場面を迎えたときには、やる場合もあります。

プレーヤーの性格や技術レベルにもよりますが、自分がいま置かれている立場で何がもっとも有効な策かを考えた末、そのヒールで打つことは選択肢のひとつになるのかもしれません。

プロは日々ショットの精度を高めようと練習を重ねています。

9番アイアンなら、落下地点に立つキャディさんが動かずにキャッチできる範囲にボールを集めたい

現役時代、そのくらいの気持ちで練習に取り組んでいました。 7番アイアンなら1歩か2歩動く範囲、5番アイアンなら半径3メートル以内。

アイアンでインテンショナルフックやスライスを打つときは5メートルの曲がり幅でコントロールする。 プロは自分なりの許容範囲を自分に課して練習しているはずです。

そうやってショットの精度と確率を向上させるのがゴルファーの使命だとわたしは思っています。

その練習の中から自ずと「お気に入り」のクラブや打ち方が浮上してくるものです。

それが自分自身の得意なクラブやショットになるのだと思います。そうやって練習を積み重ねていくうちに、いざという時にそのショットで対応することができるのではないかしら。

まずは決め球を追い求めるというよりは、地道な練習を重ねて得意なショットを見つけることが大切だということを知ってほしいと思います。

「私たちプロは、技を駆使する選手より基本がしっかりしている選手に目が行きます」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月2日号より