森守洋「レッスンは受けるな」Vol.2「陳先生のスウィングもパターンのひとつに過ぎない」
森守洋「レッスンは受けるな」
堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導する森守洋コーチが、自身が謳う原理原則に沿って、様々な理論や達人たちの言葉を解説する。
PHOTO/ARAKISHIN、Seiichiro Matsuoka
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- 堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。 PHOTO/ARAKISHIN File.1森流スウィングの原理原則 大事なのはグリップよりもクラブの動かし方 ボクがゴルフと出合ったのは高校生の頃。きっかけはキャディのバイトでした。そこからプロを目指そうとアメリカに渡るわけですが、……
File. 2
陳清波のダウンブローについて(前編)
アメリカから帰って来たボクは、陳(清波)先生と出会いそのショット力の高さや球をさばく技術に陶酔して師事することになったのですが、読者の皆さんは陳清波といえば何を思い出しますか? おそらく『ダウンブロー』という言葉ではないでしょうか。実際に陳先生も技術としてダウンブローという言葉をよく使っていましたし、インパクトのことばかり言っていたのを今でも覚えています。
あまりにインパクトのことばかりを言うので、ボクはインパクトの現象に関心を持ち、インパクトが球の行方を決めるというボクがいま提唱する“原理原則”に気づくきっかけになったことは間違いありません。
そこで改めてボクの原理原則の大枠を簡単に説明すると、スウィングは“どうでもいいこと”と“どうでもよくないこと”の2つに分けて考えています。どうでもよくないことは『棒を振るという単純な動作』、どうでもいいことは『アドレスやグリップ』などの形です。
当時、陳先生に直接教わったり記事を読むなかでボクは「ダウンブローに振るにはスクエアグリップでなくちゃいけない」という形が大事だと思い込んでいました。グリップを変えた経験がある方ならわかると思いますが当然上手くいきません。
このときどうして上手くいかないかを考えに考え抜きました。そこで出た結論として、グリップはフェースの向きには影響を及ぼすけど、振り方には影響を及ぼすことはないと気づいたんです。
陳先生には「スクエアグリップじゃなきゃダメだよ」、そして「わたしと同じように振りたいなら私と同じように握りなさい」と教えてもらいました。いまは科学的に証明されスウィングプレーンはひとつですが、そのプレーン上を動いているクラブのフェースの使い方にはいくつものパターンがある。それが個性であり、陳先生のスクエアグリップに握って振る動きは、陳先生スウィングでありスウィングパターンのひとつに過ぎないことがわかりました。
ちなみに、陳先生はインパクトでロフトを立てながら打ちたいのでスクエアグリップだとやりやすく、結果ターフが多少取りやすくなるとは言えますが、ダウンブローに振るためにスクエアグリップが必要なわけではありません。
レッスンに通うとまずグリップから教わるかもしれませんが、グリップを教わることはアベレージゴルファーがゴルフを難しくする要因なのです。だからグリップは絶対に教えちゃいけないんです。こんなことを陳先生に聞かれたら怒られそうですけど(笑)。
陳先生が本当に言いたかったことはスクエアに握ってダウンブローに振ることではなく、インパクトでフェース面をどう使っているかだったんです。スクエアグリップとかダウンブローという言葉は、陳清波のスウィングを伝えるためのビジネス的なキャッチーな表現なだけで、今風に言えば『ダウンブロー打法』とか『ダウンブロー理論』ということなのです。
ただ、面白いのは陳先生からはインパクトで「フェースをもっと回せ、手をもっと返せ」とずっと言われていたので、先生にお願いしてゆっくり振ってもらい観察したらインパクトでフェースを返す動きがすごく少なかったんです(笑)。今でいうROC(Rate of Closure:インパクトのフェースの開閉度合)がめちゃくちゃ少ない。手を返していると言う人ほど返していなかったりするもので、レッスンを受けるうえで気をつけないといけないことですよ。
では陳先生はなぜそのようなフェースを返せという表現をしたのか? その真相について次回解説したいと思います。

近年は耳にすることは減ったがアイアンの打ち方といえば“ダウンブロー”だった。この言葉を世に広めたのが森コーチの師匠である陳清波であった

解説/森守洋
もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る
週刊ゴルフダイジェスト2026年2月10日号より


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