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【小祝さくら ゴルフときどきタン塩】Vol.4「ミスしても死ぬわけじゃないので」

国内女子ツアーを牽引する女子プロのひとり、小祝さくら。ほんわかした雰囲気を持ちつつも「連続出場」歴代4位の記録を持ち、数多くの優勝を重ねる実力者。そんな小祝の素顔や、ほっこりとした日常を追っていく――。

PHOTO/Shinji Osawa ILLUST/オギリマサホ

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「小祝さくらが今まで生きてきたなかで一番うれしかったこと」を聞いたことがある。

少しの間考えて、「ゴルフのことでは、まだまだそこまでなくて、ライブに行ったり、友達と旅行したりしたときのほうが記憶に残っていて、楽しかったな、うれしかったなと。でも考えてみるとゴルフのことだったら、プロテストに受かったときですね。今後、それを超えることは、もしかしたらないかもしれません(笑)」

それだけ女子プロテストは難関だ。17年に一発合格した小祝。順位でいうと19位だった。

さくらのプロテスト合格時。「今までで一番うれしかった」。プレッシャーを乗り越えて、安堵の表情

「プロテストは本当に特別。あの気持ちになるということはもうないだろうというくらい、やっぱり一番嫌な試合でした(笑)。プレッシャーというか、そういうのがすごくありました」

試合での優勝争いのときのプレッシャーとはまったく別物だったという。

そんな小祝は、あまり緊張はしないタイプだ。朝のスタート時のティーイングエリアでも、同伴競技者への“コール”を聞いてニコニコしながら拍手をしている姿も見る。ウィニングパット自体に手が震えることはないが、優勝インタビューを考えてしまい緊張することはある。小祝に、緊張しないための“秘訣”を聞いた。

「たとえば、そうですね、自分が今、目標としていることだったり、その場の時間にしっかりと集中することだけを考えるんです。でもまあ、緊張しているときはなかなかそういうことも考えられないですよね。たぶん、緊張するときって、ゴルフだと優勝争いをしていて周りの人が追いついてきたり、自分がトップで1打落としたら逆転されるという状況。そういうときに緊張状態になったりしやすい思うんですけど、そういうときは、あまりほかの人は気にせず、自分がベストを尽くすだけだと思うので、それだけは本当に考えるようにしています」

リーダーボードもそれほど気にならない。

「特に最初のほうは見ません。最後のほうになったら見ることもあります。一応、確認しておかないと、もし追う立場だったときに、攻め方とかが変わってくるので、そういうときだけはチェックするんです」

勝利に向かってのマネジメントを決めるため、必要な状況だからチェックする。理にかなった行動しかとらない小祝。

「いやいや、そんなすごくは。ただ気にしない性格なだけで……あとはもう、ダメでもしょうがないと思って開き直ってやる。ミスしても死ぬわけじゃない、という感じで考えてやってます」

そう、命はとられない。そういう鷹揚な心持ちでいればさくらの目指す“木”のような存在になれるのかもしれない。

さくらのおだやかなスタートホール。人のプレーはしっかり見ている。「ナイスショット!」と思わず口に出る

こいわい・さくら。1998年北海道生まれ。ニトリ所属。8歳でゴルフを始め、17年のプロテストで合格。19年初優勝、昨季は5勝を挙げ最後まで賞金女王を争う。「黄金世代」を引っ張る存在だ。「私、おっとりしているように見られるんですけど、そうでもないんですよ」

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月29日号より