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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.889「ミスは悩むのではなく練習の糧にする。それがアスリートです」

KEYWORD 岡本綾子

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


100点満点のショットは打てないと言いますが、それでは及第点をどこに設定しているのでしょうか。仮に80点だとすると足りない20点は方向や距離感の狂いか、それとも他の要素なのでしょうか?(匿名希望)


ショットの出来栄えを100点満点で採点するというのは、意味があるようでないようで、申し訳ないですが、正直わたしにはピンときません。

スタートからホールアウトまで、さまざまなショットとパットを繰り返して1ラウンドが終わります。

その間、同じショット、同じパットはありませんが、強いて言うなら、上手くいったショットとそうでないショット、入ったパットと外したパットの2種類しかないと言えますね。

でも、ゴルフは人間がやるものです。そこまで白黒はっきりつけられるものでもありません。

想定内の結果には収まった点を評価してもいいのではないか、といった気持ちが合格ラインではないでしょうか。


ゴルフは審判がショットについて評価することはありません。もっとも少ない打数で上がった選手が勝ちのストローク戦です。

同じパー4でも、ほぼバーディに近いパーとボギー同然の4はあるでしょうけど、スコア上には表されません。

プロセスがどうであれ、結果だけで勝敗が争われるからです。ベタピンに寄せる99点のショットを打ったバーディでも、20メートルのロングパットを決めたバーディでも、どちらもバーディには変わりありません。

ゴルフを深く理解し熱心に練習を重ねている人なら、自分の打ったショットが及第点を取れているかどうかについてはあえて考えないとわたしは思います。

最高のショットが打てたとしても、運悪くディボット跡につかまったり、打球が突風にあおられてグリーンを外れ崖下に転落することだってないとは言えないのがゴルフです。

ゴルファーはどのような結果も受け入れざるを得ない。たとえ生涯最高の手応えを感じるプレーができたとしても、自分より1ストローク少ないプレーヤーがいれば勝てません。

では自分にできることは何か。

やっぱり上手くなりたいと願っているゴルファーは、練習する以外にないのです。

思い通りのボールを打ちたいなら、コツコツ地道に練習を重ねるしかありません。どんな失敗も受け入れるほかはないですし、次は同じミスを犯さないよう、練習に戻るだけです。

ピンまで170ヤードのセカンド地点にいると想像してください。カップは2段グリーン奥、グリーン手前から20ヤード、左から5ヤードの位置に切られており、グリーン左手前は池、右はバンカーがあります。

狙い方はその人のレベルや持ち球によってさまざまですし、結果も人によって変わります。池に入れてしまったら赤点の30点? 左を怖がって右のバンカーだと50点? グリーンに乗ったけれど下の段だから70点?

減点の対象は距離が合わなかった、クラブ選択ミス、風の読み間違い、スタンスの向き、スウィングのリズム&テンポのズレ、数えられないほどいろいろあるかと思います。

その足りない点はそのまま反省点なのです。

反省点が明らかになるからこそ、また練習を重ねる気持ちにもなれる。マイナスを前向きにとらえると
はそういうことです。ミスをしたら原因が課題になると考えればいい。

アスリートは常にポジティブでなければいけません。100点満点を目指すのは当たり前。上手くいったと思えるショットが打てたとしても、それは結果オーライを含めてのことであって、高く採点されているように感じたら、むしろ自分のパフォーマンスに辛口になるよう気持ちを引き締めるくらいでいいと思います。

まずは、自分のショットを採点する時間があるなら、ミスの理由を見つけ練習の課題にすることです。

そして、いいショットで80点の及第点で満足するのではなく、どんなショットでも謙虚に客観的にとらえ反省して練習する心構えでいてください。

「アスリートの成長はネガティブシンキングでは時間がかかります」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月23日号より