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【スウィング研究】畑岡奈紗「体の特性にマッチした自然な動きを取り戻した」

いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、先日のTOTOジャパンクラシックでツアー約3年半ぶりの勝利を飾った畑岡奈紗。

PHOTO/Shinji Osawa 撮影トーナメント/TOTOジャパンクラシック

畑岡奈紗 1999年1月13日生まれ、茨城県出身。JLPGA通算5勝、USLPGA通算7勝。先日のTOTOジャパンクラシックで約3年半ぶりの優勝を飾った

解説/髙田洋平
2002年にスポーツ医療・リハビリを学ぶために米国留学し、米国理学療法博士号を取得。ニューヨーク、ダラス、東京で理学療法クリニック「ファンクフィジオ」を開院。さらに、“身体からゴルフを診る”「PRIISM GOLF」を立ち上げ、プロ・アマをサポート

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  • 日本で唯一開催される米女子ツアー公式戦「TOTOジャパンクラシック」。最終日が大雨の影響で中止となったため、3日目終了時点でトップタイに並んでいた畑岡奈紗と荒木優奈によるプレーオフとなり、1ホール目をパーとした畑岡が優勝。2022年4月以来、実に3年ぶりとなる優勝を果たした。 3年半ぶりの復活優勝を支えた「チームNASA」の面々 「キャディさんが先に泣いちゃったんで、……

髙田コーチの指導のもと
体の特性に合った動きを取り戻す

畑岡は2023年から理学療法士の髙田洋平氏をトレーナーに採用、今年からは同氏がスウィングコーチを務めている。畑岡とともにスウィングを作り上げてきた髙田氏が畑岡のスウィングの変化を解説。

「畑岡選手の体の特徴は、『シャローイングで両わきを締めて、インパクトで腰を開いていく』という今流行りのスウィングとは対極。そのためこれらの動作を取り入れると体的には一番特性の悪いところに行ってしまう。

私が畑岡選手を見るまではこのような動きを取り入れようとしていましたが、彼女の体の動かし方に合ったスウィングに変えていきました。


最初に取り組んだのは、右サイドに乗ること。

『右股関節に乗る』ことは良いことなのですが、彼女にとって全く逆の動作になっていたので全く違う感覚に変えたところ、自然とトップが高い位置になりました。

この間、パワー系やスピード系のトレーニングを全くしていませんが、効率的に体を使えるようにした結果、飛距離が伸びました。

また全英女子オープンの後、彼女の本拠地であるオーランド合宿中に最後の体のピースとスウィングのピースがマッチングしました。具体的には利き手(畑岡は右手)の使い方だったのですが、彼女の持っていた特性と違う動きを取り入れてしまっていた。

利き手の使い方は人間の体の感覚運動統合(モーターコントロール)の中で、運動野を担う大きな分野です。その癖は小学生以降だと医学的にほぼ変わらない。

そこを『ゴルフスウィングはこう』と変えてしまうと、ミスマッチが起こって体に変なレスポンスを生んでしまう。それを直したことでスウィング中に起こる悪い動きがなくなり、これで体は整ったと思ったので『いつ勝ってもおかしくない』と感じていました。

これで今後はもっとゴルフのトレーニングが進められる。来年以降がすごく楽しみです」

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月9日号より