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【南出仁寛の千日回峰行】Vol.13 ゴルフで腰痛になるというのは間違いだった!? 体が回らない原因は“胸椎”にあった

シニア入りを機にツアープロ転身を目指す南出仁寛プロの修行の旅。職業柄なのか、腰痛に悩まされている南出プロ。腰痛にはどういうケアが必要か、また腰痛を軽減するためには、プレー中や普段の生活でどんな点に留意すべきか

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/GOLF CARE OTSUKA

ゴルフ修行僧/南出仁寛

みなみで・きみひろ。78年生まれ、大阪府出身。06年にプロ転向。ドラコン日本タイトル15冠。世界大会は11度出場し、最高成績は10位(日本人最上位)。シニアツアー出場資格年齢まであと4年

今月の「師僧」/大塚勇輔

一般社団法人プロスポーツトレーナー協会会長。カリフォルニア州立大解剖実習履習、履正社医療スポーツ専門学校などで学び、国家資格(柔道整復師)を取得。日米のプロツアーで選手に帯同するなど、プロゴルファーを中心にサポートし、述べ3万人を超える体をメンテナンスしてきた実績を持つ

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ゴルフで腰が痛くなることはない?

南出 3年前に腰椎ヘルニアの手術をしたんですが、術後も痛みが完全に消えることがなくて……。まあでも、職業柄ある程度は仕方ないんかなと……。

大塚 これを言うとほとんどの人が信じてくれないんですけど、実はゴルフのスウィングでは腰に負担はかからないんですよ。だから、ゴルフで腰痛になるというのは、間違いなんです。

南出 そんなアホな。

大塚 ホンマです。ただし、腰椎とその周辺の筋肉に余計な負担をかけなければ、という条件付きですけどね。そもそも、腰椎(背骨のうち最下部の5つの骨)がどれだけねじれるかご存じですか?

南出 確か10度くらいじゃなかったでしたっけ。

大塚 もっと少ないです。5つ全部で4度しか回りません。だから、この部分を回そうとしちゃダメなんです。代わりにどこで回すかというと、股関節と胸椎(背骨のうち、首の骨である頸椎と腰椎の間の12個の骨)ですね。逆に言うと、股関節の可動域、胸椎の回転可動域が狭いと、無理に体をねじろうとして腰に負担がかかるということですね。


南出 股関節は硬い(笑)。これは自覚があります。胸椎はどうやろ……。

大塚 ちょっと診てみましょう。こちらに仰向けに寝てください。(下記のようなチェックを経て)これはよくないですね。スポーツ選手じゃない普通の人でももっと(胸椎が)回りますよ。

南出 原因はそこか。

大塚 整備不良のフェラーリみたいでもったいないですよ。今すぐ施術をしていきましょう。ちゃんと整備すればビュンビュン走るようになりますから。

南出「ボクの胸椎の可動域はどのくらいですか?」
大塚「一般のアマチュアより動いてないかもしれません」

胸椎の回旋可動域を測定①
仰向けになり立てた両ひざを横に倒す

仰向けの状態で両ひざを立て、それを横に倒したときに反対側の肩が持ち上がってしまうのは、胸椎の回旋可動域が狭い証拠。十分な可動域がある人は、脚を倒しても両肩がぴったり床にくっついてい

胸椎の回旋可動域を測定②
横向きになり頭に手を当て上体を背中側に倒す

横臥位(横向きの体勢)で、上になる脚を曲げてひざを床につけ、やはり上になる手を頭の後ろに当てて上体を背中側に倒す(写真)。スタート時に頭に当てた手(ひじ)の角度を「0度」として、ひじがぴったり床までつけば「90度」。事前チェックにおける南出プロの胸椎回旋可動域は「45度」だった

胸が回れば体の正面から手が外れなくなる

PGAツアーの平均では、トップで肩が約110度回ることがわかっていて、そのうち胸椎の回転が担うのは75度くらい(残りの35度くらいは骨盤で担う)。胸椎の回旋可動域がそれ以下の人の場合、それを補おうとして左腕を胸に押し当てる方向に動かしてしまうため、「胸の正面」から手が外れやすくなる

胸椎が回転するほど飛ばしのポテンシャルが高い

胸椎の回転テスト(上記のチェック②)で、ローリー・マキロイは120度、日本ツアーの飛ばし屋として知られる幡地隆寛は110度程度回るという。南出プロの「45度」というのは、日常生活を送るうえで、必要最小限の回旋可動域(45~60度)の範囲内に留まっている

背骨には回る場所と回らない場所がある

背骨(脊椎)は下部の腰椎、中間部の胸椎、上部の頚椎で構成されており、このうち腰椎の5つはほとんど回転しない(5つトータルでの可動域が4度程度)。これに対して、胸椎の12個は回旋可動域がかなりあり、普通の人(ノンアスリート)でも90度程度回るケースもある

月刊ゴルフダイジェスト2026年1月号より