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【江連忠のPROJECT E】Vol.266 アニカ・ソレンスタム「ルックアップ打法でアプローチのように目標をとらえていた」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/GD写真部、Getty Images、Hiroaki Arihara

Photo by David Cannon/Getty Images

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●今月のレジェンド●

アニカ・ソレンスタム

1970年スウェーデン生まれ。米ツアー72勝(メジャー10勝)。賞金女王8回。強さと美しさを兼ね備え圧倒的な人気を誇った。03年世界ゴルフ殿堂入り。08年、開幕戦で優勝しながらも引退を表明した


ルックアップは
強いターゲット意識の表れ

デビュー当時は可愛さが先行して人気に火がついたアニカですが、その後のアイドルからアスリートへの変貌ぶりは凄まじかったです。

飛距離不足をスウィングではなく激しいトレーニングによってカバーしたのです。アニカのスウィングは、決してクラシックではなく誰とも似ていない独特のものです。


重心がずっと高めで左肩の動きが少なく、トップではややオープンフェースでそこからのフェースローテーションが多い。

そして一般的にはセオリーだと言われていた「頭を残す」ということをせず、ボールが飛んでいくのと同時に顔を上げていくフォローが特徴的でした。

これはターゲット意識が高いからこそ起こる動きで、全ショットがアプローチかのように狙った通りに飛んでいました。球を運ぶことに徹したスウィングで、飛距離は筋力で補うと分業させたから強かったのです。

インパクト後はムリに
顔を残そうとせず力を抜く

インパクト前に頭が上がってしまう「ヘッドアップ」は良くないが、ボールを見過ぎてしまうとフォローが小さくなる弊害もある。インパクト後は力を抜きながら振る

逸話①100Y先のキャディが一歩も動かずボールをキャッチ

野球のグローブをはめたキャディが100Y先に立ち、アニカの打った球をキャッチする練習が恒例だった。キャディはほぼその場を動かずにキャッチしていた

逸話②女子最少スコア「59」はいまだに破られていない記録

2001年の「スタンダードレジスター・ピン」で女子で初めて60の壁を破り59ストロークを達成。1ラウンドで13バーディも最多記録

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年12月号より