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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.249「メンタルトレーニングは何のため?」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yasunari Okuda

>>前回のお話はこちら

不調に陥ったときにメンタルの先生のところに行かんのかと聞かれますが、僕は逆に、そんなもんメンタルの先生に教えたるわくらいに思ってます。 

というのも僕自身、以前からメンタルに関する本はかなり読んでいて、『メンタルタフネス』(ジム・レーヤー)いうスポーツメンタルのはしりの本は何回も読みましたし、『禅ゴルフ』(ジョセフ・ペアレント)、『弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル)といった禅とスポーツに関係した本や、禅そのものに関する本も読みました。こういった本を読んどると、「最後はハートやねんで」いうのはよくわかるんですけどね。

実は、パッティングのイップスになったとき、催眠術をかけてもらいに行ったけどかからんかったんです。治るんやったら催眠療法でも何でもいいから、いうわらにもすがる思いで行ったわけです。そらメンタルの先生でも結果は変わらんと思ってます。


だいたい、多くのプロゴルファーがやるメンタルトレーニングは試合に勝つためのもんです。もちろんツアープロであれば勝つために何でもやるんは当たり前のことで、僕もそうでした。けれどね、今の若い連中なんかは成績上がれば何でもええと、だからコーチもドンドン代えるわけですよね。

もちろん、それはわからんでもないです。ただ、それが高じて成績至上主義になるんもどうかなと思います。メンタルコントロールと成績至上主義が目的化してしまい、ここは刻みでしょう、ここからはパターでしょういう“回避するゴルフ”でこの先ずっと行くんかということになる。

僕なんかはゴルファーとしてゴルフを究めたいという気持ちが根本にあるから、こういうこともああいうこともできるようになったというんがゴルファーとしての成長やと思うので、危険回避して「30」で回ったってそれがどうした、と言いたくなるんです。

結果として金になるわけだからいいんやないかという意見もあるでしょう。でも、そういう意味でも、メンタルとかはあまり気にせず、ゴルフを究めつつお金が稼げれば一番ええということなんです。

「ゴルファーとしてゴルフを究めたいという気持ちが根本にあります」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年11月11日号より