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【ベイカレント観戦レポート】<早稲田大4年・竹原佳吾>「球質が重い! 風にぜんぜん流されない」

10月9日から横浜カントリークラブで開催されたPGAツアー「ベイカレントCレクサス」。今年このコースで戦った学生アマと、PGAツアーに精通する佐藤信人が、それぞれの“目”で見たプレーや選手についてレポートする。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara

竹原佳吾 たけはら・けいご。2003年生まれ、神奈川県出身。7歳でゴルフを始める。早稲田大学社会科学部4年。今年JGAナショナルチーム入り。日本アマは24年に5位、25年に39位タイ。1Wの飛距離は290Y、得意クラブはパター。177cm・82kg

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本大会の舞台、横浜CCは今年7月の日本アマチュア選手権の舞台であり、また、9月下旬には松山英樹の「アマチュアにも世界を体感してほしい」という思いから、大会に出場できるアマチュアを1人選ぶ予選会も開催された。そのどちらの試合にも出場、また父が同コースのメンバーでもあり、コースを良く知る学生アマ、竹原佳吾が初日をウォッチ! 

コースについて、「アウトで伸ばしてインで耐える感じです。僕も予選会ではアウトで4アンダー出たのに、インは4オーバー打ってしまいました」。 

見たい選手を聞くと、「松山英樹選手とザンダー・シャウフェレ選手、あとはポトギーター選手です」との答え。さて、この日は公式発表で北の風6.3mの強風。1番パー4。今回メディアとして観戦する竹原は、ロープ側での観戦に緊張気味。最初は松山、C・モリカワ、C・ゴッタラップ組に付く。

「コリンはZOZOで見て、いいフェードを打つし、セカンドショットが上手いと思いました。松山さんはマスターズに勝っているし、すでにレジェンドです。話したことはないんです。予選会の表彰式でお会いし、思ったより縦も横も大きいのですごいなと。ゴッタラップはマキロイを倒しましたよね。この人もめっちゃ飛びます」

フォローの風の中、PGA選手のボールを見ての第一声は「球が重いですね。吹き上がってないです」。日本アマでは、観客用のテントがなく、ティーイングエリアはもっと後ろで距離は長かった。「30Y違う。風もアゲだったのでセカンドが200Y残りました」

小さい頃はジェイソン・デイが好きだったという竹原。「世界一でしたしキャラクターが好き。でも今年のマスターズの優勝を見たら、やっぱりマキロイを好きになりますよね。プレースタイルがカッコいいし、ライダーカップでヤジを飛ばされても強い感じもいい」

2番パー4。強烈なアゲンストの中、プロたちのクラブ選択と球筋が勉強になると竹原。

「松山さんは、ドライバーでほぼ真っすぐに飛ばして、ゴッタラップはロングアイアンでスティンガーっぽい球を打って、コリンはドライバーでフェードを打ち右のバンカー越え。それぞれのマネジメントです。僕は絶対にドライバー持ちますけど(笑)」 

2番のティーで待っているとき、2つ後ろの組にいる予選を勝ち抜いた唯一のアマチュア代表、同期の小林大河のプレーを気にする竹原。「大河は体も大きいし、海外選手の中でも見劣りしない。頑張ってほしい」。 

さて、飛ばし屋・ポトギーターのティーショット。「体がでかいですね。僕より年下(笑)。この風でスプーンでここまで飛ばすって……」と300Yショットに驚きつつ、「それにしても皆、球が強いなかでも、スピン量が適正、風に流されてないです」

15番(387Y・パー4)で、打ち直したドライバーショットがグリーン横に着弾。「クラブをムチのように使って、ボールスピードが速い。リリース、ローテーションの仕方など、最大効率の打ち方です」

本大会の勝者となったシャウフェレ。「使うクラブが僕と同じキャロウェイなんです。見るからにめっちゃいい人っぽいです。そういうことも重要ですよね(笑)。でも、ドライバーもテンポ感がよくて上手い。そこも好きです」

「いいイメージが糧になる
課題はゆっくりテークバック」

観戦スタイルは“いろいろ見ちゃう派”だという竹原。ただし、スウィングは後方から見たい。

「自分の動画も後ろから撮って確認をします。練習場で1人でも撮りやすいので。テークバックでのヘッドや手の軌道の確認です。僕はテークバックがイマイチで、タイミング、テンポが試合になるほど速くなる。ゆっくりテークバックしてトップをきちんと作れると崩れないショットになると思っていますから、最近、あえてトップで止めるドリルをやっています。松山さんのイメージ。肩周りが柔らかすぎるので、最後にクロスに入りがち。これを防止するため、トップで止めてレイドオフをしっかり作って振りたいんです」 

振っていないけれど速いスウィングを目指している。

「マキロイやフィッツパトリック、デシャンボーは速く上げて飛ばす。でも僕は、ゆったり振ってバコーン、のイメージです」 

松山のトップでの“間”をマネしている。「松山さんを見るとああいう感じで打ちたいと思います。いいスウィングを見るといいイメージができます」

さて、途中、すれ違うプロのプチ解説もしてくれた。エリック・コールは「思ったより小さいです。でもキレがあります」。ジョエル・ダーメンは「いつもハットなのに珍しく普通の帽子をかぶっている。髪も切りましたね」、マイケル・ソービヨンセンには「彼はスタンフォード大で、IMGアカデミーの出身、僕もそこに行ったことがあります。今思えばアメリカの大学に行くのも選択肢の1つだったかもしれないです」などなど。PGAマニア?

「同期の小原力がマニアなんです。ゴルフだけでなく、いろいろと詳しい。よく教えてくれます」 

大学で、仲間・ライバルができたことが自分のゴルフを伸ばしてくれた。

「同期の(中野)麟太朗の日本アマでの優勝でゴルフのモチベーションが今までとは変わりました。練習量も増えたし、大学の仲間と一緒に上に行く感じがよくて。それに最近、小さい頃から知っている選手がツアーで優勝すると、『あの人たちとやってた自分も』と思える。今、この舞台でプレーしている大河だってそうです」 

大学で技術も満遍なく伸びた。「特にアイアンのショット力、パーオン率が上がった。マネジメント力もついてきました。いろいろ経験をして冷静にゴルフができるようにもなりました」

今年はカナダアマやオリンピックCでの全米アマを経験し、世界が近くなった。そんな竹原だから、今回の観戦も「次の自分につなげる」目が光る。 

16番パー3。多くのギャラリーに囲まれるプロたちを見て、「いい景色です。ここは日本アマでは最終ホールでした。あの時とは景色が違う」。景色が違うのは、自身の思考も変わったからだ。

「プッシュフェードや低い球、スティンガーショットなど風を関係なくさせる球や、飛ぶのに飛ばさずに、いろいろな球を打つ選手を間近で見られた。ウェッジでも、ローンチアングルを抑えて打ったりして上手いなあと。もっと練習して自分にも取り入れたい。また、会場の雰囲気がとてもよくて、観客も多く、こういうところでプレーしたいと本当に思いました」 

世界で戦うプロゴルファーへ向け、また大きな経験となった。

同級生にインタビュー
「大河が頑張った。僕のモチベーションも上がった」

“メディア”としてラウンド後の小林大河にインタビュー。日大の同期の隅内雅人がキャディをしていることを指して、その存在意義を聞いていた。「緊張しました。でもこれも経験です!」

スタジアムホール風にスタンド、ギャラリーに囲まれた16番パー3を見て。「大舞台に立ったときの自分を想像をしてみました。これからも、経験数を増やす必要があります」

今年の日本アマでチームメイトと(左)、ベイカレントCレクサスのアマ予選の表彰式で(右)。このとき松山英樹の横にいち早くポジションを取るも、撮影の都合で前後になり「残念でした」

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週刊ゴルフダイジェスト2025年11月4日号より