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日本オープン開催!「日光CC」を読み解く<後編>2003年の逆転劇をプレイバック! ホール難度トップ3は?

今年で90回を迎える日本オープンが今週、日光CCで開幕する。03年大会以来2度目の舞台となるコースは井上誠一の設計で、雄大な男体山を眺望しながらのプレーとなる。深堀圭一郎による逆転劇で幕を閉じた03年大会を振り返りながら、日光CCの攻略法を紐解いていく。

TEXT/Takeo Yoshikawa THANKS/日光カンツリー倶楽部

>>前編はこちら

深堀圭一郎が今野康晴に逆転勝ち
2003年大会最終日に何が起きたのか?

今野康晴
深堀に逆転されたことを知った13番。16番のバーディパットは……

3日目を終了して通算6アンダーで2位とは3打差の首位で最終日を迎えた今野康晴。日本オープンのセッティングは難度が高く、スコアも伸び悩むことが多い。3打差あれば優勝に「王手」をかけているも同然と、今野には「このままいけばパープレーでも勝てる」という思いが芽生えた。 

前半で3つスコアを伸ばし、後半の9ホールに入った。スコアを崩しても「パープレーで勝てる」はずだったが10、11、12番で連続ボギー。だが「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせて13番に到達。そこで初めてスコアボードを見て驚いた。

5打差5位で自分よりも5組先にスタートした深堀圭一郎がスコアを伸ばし、1打逆転されていた。その後15番をパーにして16番に。5組先行の深堀は今頃18番をホールアウトしているはずだ、自分にはまだ16、17、18番が残っている。16番グリーンではボールがいいライン上にあり、入る予感がして打ったボールはカップに沈みかけながらも跳ね返って非情にも縁に飛び出した。歴史に「イフ」はないが、もしバーディだったらどのような展開になったのか?


16番・207Y・パー3
歴史が育んだ「空中ハザード」

河川敷の岩や礫に土をかぶせて造られた日光CC。井上誠一は「土壌に石が多いために松は根が深くならず、地表に浅く横に張り、背丈も高くならず、枝も横に張る。それがティーショットやアプローチショットでプレッシャーとなる。松の育つ頃には日本屈指のコースになる」と予言。赤松の低く広く伸びたつややかな枝ぶりが「空中ハザード」を形成している

3.8 メートルの打ち下ろし。グリーン手前80ヤード付近にあり柳の木が個性的だ。バンカーはグリーンの左右、奥と3個配されていて、右のバンカーはあごが高く難しい。ピンの位置にかかわらずグリーンセンタ―から狙うのがベスト。グリーンは手前から速く、右のマウンドが効いているのでラインをよく見極めたい

深堀圭一郎
逆転を狙ってスタートから快進撃。17番で女神が微笑んだ

プロにとって日本オープンは特別であり「勝ちたい試合」でもある。首位と5打差で最終組より5組前にスタートした深堀圭一郎は、1、2番をバーディとし幸先の良いスタート。この後さらに4、7、9番でバーディを奪い、後半の9ホールに入った。この時点で首位の今野康晴に2打差まで迫っていた。勢いに乗る深堀は11番をボギーとするも、13、15番ではバーディを奪い、このホールを終えた時点で今野に1打リードしていた。

深堀にとって危うかったのは大詰めの17番だった。ティーショットを右に曲げてしまいボールは林の中に消えたが、木に当たってフェアウェイ方向に跳ね返ってきた。ラフだったがライは悪くなく、ピンは視認でき距離は140ヤード前後。PWで打ち2オン、そしてバーディ。もし、ボールが林の奥に転がったら間違いなくペナルティになり、パーすら難しかっただろう。16番でバーディが取れなかった今野、17番を奇跡的なバーディにして2打差で振り切った深堀。

ゴルフは筋書きのないドラマが待っているのだ。

17番・410Y・パー4
逆転劇が起こる「17番ホール」

日光CCで開催されるトーナメントでは17番パー4で波乱が起きる。2003年は深堀圭一郎が17番のバーディで逆転。2021年の日本プロでは首位で迎えた池田勇太が17番でグリーの奥からのアプローチをミスし、痛恨のボギーで力尽きた。17番のグリーンは受けているように見えるが、センター付近からは平らから下り傾斜で、かつ順目のためオーバーしやすくなる

9メートルの打ち下ろしでややランが出やすい。右にはOBがあるが先に行くほどOBラインは深く助かることもある。1打目はフェアウェイ右側の平坦な場所を狙っていきたい。左に行くと、松林がスタイミーになり2打目が打ちにくい。グリーン右のバンカーは距離があるから避ける。グリーンは手前から速い

2003年大会最終日のホールデータから
難度1~3位のホールを読み解く

2003年大会で選手は“美しくも難しい日光CC”とどのように対峙したのか、最終日のデータを参考にしながら難度の高かったトップ3ホールの攻略を解説。

11番・455Y・パー4【難度3位】
変化に富む名物ホール「松の廊下」

03年最終日の平均ストローク:4.403(バーディ3、パー35、ボギー28、ダブルボギー1)

“松の廊下”と呼ばれる名物ホール。ホールは真っすぐだが、フェアウェイは起伏に富み、落とし場所により右、左へと転がってしまう。理想は右の林ギリギリに攻めていくことだ。左に打ってしまうとバンカーが気になりショットで難しくなる。グリーンは手前から速いのでアプローチ、パットは慎重に

10番・480Y・パー4【難度2位】
パー5をパー4にして難しくなった

03年最終日の平均ストローク:4.463(バーディ4、パー34、ボギー23、ダブルボギー6)

通常は518ヤードのパー5だが、大会では480ヤード、パー4の設定になる。ティーイングエリアからグリーンまで8.8メートル下がっているが、緩やかなためほとんど体感することはない。構えると左の林が気になり右を狙いたくなるが、林に入れてしまうとフェアウェイに出すだけになり、フェアウェイのやや左を狙うのが理想的。右に行きすぎると松の高さが気になり、その先にはバンカーがある。グリーンは中央から左、奥へと傾斜があるため右手前がベストになる

5番・400Y・パー4【難度1位】
打ち上げ、そして方向性が求められる

03年最終日の平均ストローク:4.493(バーディ4、パー34、ボギー21、ダブルボギー8)

約9.6メートルの打ち上げホール。左から松林がせり出し、右の林がプレッシャーをかけてくる。1打目はフェアウェイ左側でグリーンから190ヤード手前にある2本の松の右辺りが狙い目になる。グリーンは中央から右奥へと傾斜していてグリーン左にはバンカーがある

日光CCの準備は万端!
日本オープンゴルフ選手権 2025年10月16日(木)~19日(日)

日光CCを美しく演出している赤松は青空、青い芝に美しく映えるが「空中ハザード」となっている

ラフの長さは10~15センチを想定。ボールを打ち込むと、状況によっては脱出が難しくなる

コースの整備は完璧といえるほどに仕上がっている。グリーンの速さは11~11.5フィートを目指す

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月28日号より
※コースのヤーデージは2003年日本オープン時のもの