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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.878「距離感を養うための“体内スケール”を作る練習をしていますか?」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


プロはアイアンを1ヤード刻みで打ち分けると言われます。測定器では距離が1ヤード刻みで表示されますが、その距離感をどうやって出すのでしょうか。振りの速さかインパクトの強さ、それとも振り幅なのでしょうか。(匿名希望・50歳)


ゴルフは自分との闘いです。

そのため、可能な限りボールを自分の思い通りに運ぶ技術を磨いていかなければなりません。

これを手に入れるには、やはり練習を積み重ねる以外にはなく、特効薬も近道もありません。

その練習の究極の目的とも言えるのが、自分の距離を知って正確なスケールを身に付けること。スコアメイクの基本は、自分の飛距離を知ることが重要です。

ですから、ゴルフを始めて練習をし続け徐々にショットが安定してきたところで、9番なら9番アイアンでキャリーがいくつ、ランがいくつ、というようにどれだけ出ているかを把握することがとても大切です。


練習場でボールの位置から100ヤード、150ヤード離れた場所に目標物を置いて常に練習できればいいのですが、なかなかできないと思うので、距離の確認はアバウトにならざるを得ません。

正確に測るためには、距離測定器や弾道測定器などを使いチェックするしかないと思います。

最近は測定器などが普及しているので、ラウンド中はもちろん、練習場でも手軽に距離のチェックができるようになりました。

測定器が導入されたことによってゴルファー全体の距離感レベルは著しく向上したと思います。

かつてプロが1ヤード刻みだったとすれば、今は50センチ刻みの精度で打ち分けていると言っても言い過ぎではないと思います。

体内スケールを確立するのは容易なことではありません。

何十万球打ったからといって距離感が身に付く保証はありませんし、この練習をすれば簡単にマスターできるという方法もありません。

距離感作りは、このときはこれだけの距離が飛んだと頭にメモしながら地道に経験を積み上げる以外に上達する方法はありません。

基本は、距離の調節は振り幅で行います。

たとえば、8番アイアンのフルショットが150ヤードだとして、振り幅を小さくすることで145ヤード、140ヤードと落としていきます。

自分で作り上げたスウィングでの体内距離計を確立していく辛抱強い練習。

どう振り幅を縮めるのかと問われれば、残念ながら自分の感覚で調節するとしか答えられません。

スキルの神髄はいつもこの感覚の域に委ねられるのです。

プロの場合、アイアンでフルショットで打つケースはほぼないと言っていいです。

何らかのコントロールショットをしています。

それを便宜上、スリークオーターとかハーフショットなどとスウィング幅の別で表現しますが、どれがフルショットの何パーセント減と決まっていません。

高い球で攻めるか、低い球で狙い打ちするか、フックかスライスで寄せるか、バックスピン量をどうするかなどヘッドスピードで距離を変えることもできます。

レベルが上がれば調節法の引き出しも増えてきます。

そうなると200ヤードも先のグリーンに向かってボールを飛ばして、ピンそばにピタリと止めるということもできるようになるのです。

そのため、プロは自分の持ち球をきちんと理解し常にキャリーとランを正確に把握したうえで、その弾道が風でどれほどの影響を受け、どこにどんなスピンのボールが着弾するかというイメージを描いてショットを放っています。

距離と方向性を限りなく一致させるところにスーパーショットがあるのです。

まずは、自分の距離計というスケールを作ることが第一歩です。

PHOTO by Ayako Okamoto

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月7日号より