【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.22 80台のための「素振り練習」と「現場素振り」術とは?
シニアのための89ビジョン
飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら
- 飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。 ILLUST/Shinichi Hoshi >>前回のお話はこちら 以前、同世代の女子トップアマとラウンドしたとき、彼女の飛距離は自分とそこそこで、ショットも似たり寄ったりでした……
後藤修先生がよく語っていたのは、禅問答みたいな素振り理論でした。「素振りの再現がショットで、ショットの再現が素振り」って何なのよ~。なんとなく理解できたのは、先生の元を離れてからだいぶ経ってからです。
後藤先生の教えはプロ向けなので、そこをやさしくかみ砕かないといけません。自分なりに解釈し、その技を伝授したいと思います。
日頃の素振りが大事
素振りが大事理論は野球から始まっています。王選手が荒川コーチの指導のもと、日本刀で素振りしたエピソードは有名ですよね。
昔から野球とゴルフの親和性はありました。後藤先生の師匠は新田恭一氏で、慶応大学野球部からプロ野球選手になった人です。大学時代は、投手とバッターの二刀流で活躍しています。しかもゴルフも日本アマ(昭和6年)で優勝している万能選手だから凄すぎ。
ゴルフの素振りの重要性は、新田恭一から後藤修に継承され、私のところに参りました(笑)。素振りを完璧にこなし、コースで再現できれば素晴らしいショットになります。言っていることは正論ですが、それをアマチュアにどう落とし込むかが問題です。
家での素振り練習
素振りのメリットで、まず挙げられるのはストレッチ効果です。家の中で短いマスコットクラブでよいから、ゆっくりと振っていく。それだけで体の可動域が広がり、トップ位置も深くなり飛距離アップ。軌道も安定します。仕事の事情で、素振りしかできない知り合いがいますが、その人は少ないラウンドで、シングルの腕前を維持していますからね。
素振りは一番手軽にできる基礎練習です。けれど地味だから、やりたがらないんですよね。後は自分の意識の問題だと思います。向上心のある方はぜひ、1日10分でよいからやりましょう。気づかぬうちに上達しているものです。
練習場での素振り練習
ドライバーなどの長いクラブは、バカスカ打つものじゃないです。オートティーから出てくるボールを続けて打っても疲れるだけです。1回打ったら、ショットの反省をしつつ素振りをするのがよろしい。理想は1回打ったら1回素振り。それくらいはしないと。
ドライバーショットは、1日ラウンドしてもせいぜい14~15回ほどしか打ちません。練習だからって連打しても疲れるだけ。
それはMLBオールスターゲームのホームラン競争に出場しているようなもの。大谷選手ですら大変だったのですから、アマチュアは体を壊しますよ。ドライバーは1打ごとに反省し、一球入魂の精神で練習したほうがよいです。
ラフの素振り
ここからが本番、非常に役立つ現場素振り術を伝授します。よくトーナメントで見かける光景ですが、ヘビーラフにボールが入ると、ボール近くのラフでプロは素振りを何度もします。似たライを見つけ、どれほどの力加減で振ればボールが出るか? 素振りをして確かめているんですね。
それに比べて、アマチュアは素振りが圧倒的に少ないように思います。ミスショットをするとテンパっているから、出たとこ勝負でラフのボールを打って、ボールが出ないこともしばしば。トラブルショットの時こそ、現場でそれに近い状態のライを見つけて、何度も素振りをすべきです。
アプローチの素振り
例えば残り70ヤードのセミラフ逆目。PWのハーフショットでいくか? いやスリークオーターにしておくか? 少しクラブを短く持ってパンチを入れてとかね。
このショットも素振りをして感覚をつかむべきです。上手い人ほど素振りをして、自分の体にショットを覚えさせます。この感じで振ればいいと。まず素振りでナイスショットをしないと。素振りで打ってみて、これは飛びすぎだな、もっと軽く、そうやってシミュレーションをしましょう。
パターの素振り
誰にでもできる一番簡単な距離の出し方、それがパターの素振りです。パターの打ち方は自由ですが、守るべきはストロークです。テークバックの距離とフォローの距離を同じにすること。だからパチンと打つのはなしです。あとは自分で決めた、ストロークの再現だけ。30センチ引いて、30センチのフォローで6歩の距離とか。これも素振りの再現と理解したし。

教える人/木村和久
「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー
週刊ゴルフダイジェスト2025年9月2日号より


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