【ゴルフせんとや生まれけむ】和田一浩<前編>「高くて険しい“70”の壁」
ゴルフせんとや生まれけむ
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、元プロ野球選手の和田一浩氏。
ゴルフでは100の壁があって、それをクリアすると今度は90、80と次々に越えなくてはならないカベが現れて苦労しますよね。僕の場合はプロの世界に入って本格的にゴルフをやるようになってから80まではスムーズに越えてきて「壁が高いなあ」と感じたことはなかったんですよ。むしろやるたびに自分の上達度合いを確認できて「またスコアが縮まった」と感じるのがとても楽しかった。ただ、今迎えている70の壁、こればかりは高くてかなり険しいです。僕のベストスコア71は今から20年ほど前の西武ライオンズ時代、キャンプ中に宮崎の北郷フェニックスCC(現・日南北郷CC)で出しましたが、そこから先は一向に進まず……。ここまで来ると1打縮めるのは至難の業。もちろん今でもゴルフは大好きで、やるたびに楽しいなって思う反面、苦しみも大きいですね。
クラブの得手不得手はスコアの変遷によって変わってきました。シャンクに悩んでいた頃は、アイアンが嫌いになったこともありましたけど、ラインを出していったり、ピンを狙っていくという意味では基本的にアイアンが好きですね。なかでも距離的に自分のイメージを一番出しやすいのが8番アイアン。フルで打って165ヤード前後、抑えて155ヤードをしっかり打つことができるんですよ。ただ、これが7番より長くなると一気に難しくなって何かうまく当たる気がしない。200ヤード弱打ちたい時は5番を使いますが、当たった時と当たらなかった時の差が極端に出てグリーンをヒットするのはすごく難しいですね。
ドライバーも嫌いじゃないですよ。調子の良し悪しが出てスコアに直結するのはやっぱりドライバーだと思います。ドライバーが自分の想定している枠内に行っていれば、ある程度のスコアは出る。その日のラウンドはドライバー次第ということがけっこう多いですね。飛距離は今280ヤード前後。確かに昔に比べればちょっと落ちてきました。でも、若い頃は1ヤードでも遠くに飛ばしたくてしょうがなかったのに、今は250ヤードでもちゃんと想定の枠内に行ってくれればアプローチなんかは昔より上達しているのでスコアがまとまることがわかっています。ですから、飛距離にはあまりこだわらず方向性のいい安定したドライバーショットを打ちたいと思っています。
僕はそもそもゴルフの基本がわかっていない素人で(笑)、スウィングも自己流ですが、全力で振っていた野球の時とは違ってゴルフの時はすごく慎重。7割8割を心掛け、コントロールを重視しています 今の悩みは球筋ですね。フェードとドローがその日によって変わってしまい安定しないんです。最近のスコアは、調子が良くても75前後。パーではなかなか回れなくて、前半「今日は調子がいいな」と思っても、18ホールは続かないんです。ベストスコア更新のためにはドライバーの球筋を安定させる、これに尽きると思います。そうすれば、20年以上出ていない71……そしてその先の60台も決して夢ではないと思っています。

和田 一浩
わだ・かずひろ。1972年岐阜市生まれ。東北福祉大、神戸製鋼を経て97年西武に入団。首位打者、ベストナインなどのタイトルを獲得。08年中日に移籍、15年、史上最年長の42歳11カ月で通算2000本安打を達成。引退後はコーチを経て現在は解説者として活躍中。愛称はベンちゃん。ベストスコア71
週刊ゴルフダイジェスト2025年8月12日号より


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
雑誌



















