HS40m/s前後に最適! 振りやすさマックスの『エピック マックス』ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はキャロウェイの『エピック マックス ドライバー』ドライバーを取り上げる。
HS30m/sでも十分に扱える
AIフェースでお馴染みの『エピック シリーズ』だが、その最新作はフェースデザインだけでなく、ヘッド内部の2本の柱の「ジェイルブレイク」までもAIで解析。インパクトの力をボールにより伝えるために「ジェイルブレイク AI スピードフレーム テクノロジー」を開発した。その最新『エピック シリーズ』でもっとも曲がりにくく、やさしいモデルとされるのが今回紹介する『エピック マックス』だ。
さて、クラブを計測していこう。すべて実際に測った数値を記載する。クラブ長さは45.25インチと長すぎず標準的で、クラブ重量が290.2gと軽く、スウィングウェートもD0.0とやや小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが283万g・㎠に抑えられ、この数値であれば本来はドライバーのヘッドスピードが40~41m/sくらいのゴルファーにとってタイミングよく振れる設計になっている。しかし、試打クラブ(ロフト角9度)のシャフト(純正)はかなり軟らかい設定で、このシャフトならヘッドスピードが30m/s台のゴルファーでも十分に扱えるはずだ。
Point 1 クラブ長が45.25インチと長すぎない
Point 2 クラブ慣性モーメントが283万g・㎠と大きすぎない
Point 3 ヘッド体積は454ccと標準的だが、横幅が広い
オープンフェースだが、重心が
ヒール寄りのためつかまえられる
ヘッドの特徴を見ていこう。オーソドックスな丸型形状ながらも横幅が非常に広く、投影面積が大きくなっている。しかし、ヘッドの横幅が非常に広い見た目とは裏腹に、分析すると特別に深い重心深度を狙った設計ではなかった。つまり左右方向のヘッド慣性モーメントを非常に大きくするような最近のはやりを狙った設計ではないということになる。米国モデルらしくフェースアングルが1.5度オープンと、フェースがまったくかぶっていない。兄弟モデル「エピック スピード」とは違い、ヘッド後方が低いシャローバック形状で、インパクトでのアッパーブロースウィングをイメージさせている。
さて、実際に試打した印象だが、アドレスではヘッドの横幅が非常に広いので投影面積が大きくなり、いかにも打ちやすそうで安心感を持ってスウィングすることが可能だ。「エピック スピード」や「エピック マックス LS」と比べてヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが大きく、本来はダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかなモデルだが、「スピード」や「マックス LS」と比べ、重心位置がややヒール寄りになっていることで、球のつかまり感も大事にしていることが分かる。
クラブ長が長すぎず、シャフトも軽いのでヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーでもしっかり振りやすく、ストレート系の高弾道が打て、適度なスピンが入るので弾道も安定していた。
キャロウェイ
エピック マックス ドライバー
<試打モデルスペック>※メーカー公表値
●ヘッド素材/11 チタンボディ+トライアクシャル・カーボンクラウン&ソール+ペリメーター・ウェイト(ボディ)、鍛造 FS2S チタン(フェース)
●ロフト角/9度
●ライ角/59度
●長さ/45.75インチ
●シャフト/ディアマナ40 for キャロウェイ(S)
●総重量/約289g(S)
●価格/8万4700円
クラブ&ヘッドデータ(実測値)
クラブ長さ | 45.25インチ |
クラブ重量 | 290.2g |
スウィングウェート | D0.0 |
クラブ慣性モーメント | 283万g・㎠ |
ヘッド重量 | 196.4g |
ヘッド体積 | 454㏄ |
リアルロフト角 | 9.7度 |
ライ角 | 59.0度 |
フェース角 | オープン1.5度 |
重心距離 | 41.2㎜ |
重心深度 | 39.7㎜ |
フェース高さ | 55.5㎜ |
スイートスポット高さ | 34.9㎜ |
低重心率 | 62.9% |
ヘッド慣性モーメント(左右方向) | 5159g・㎠ |
ネック軸周り慣性モーメント | 8063g・㎠ |
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週間ゴルフダイジェスト2021年5月11・18日合併号より