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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.852「プレーもショットも切れのいい選手とはラウンドしてみたいですね」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


日本の女子プロゴルフは、世界に羽ばたく選手が10人以上にも増えていますが、岡本さんがもし今、現役だったとしたら、現在活躍中のどの選手と対戦してみたいですか?(匿名希望・49歳・HC9)


かつての名選手と現役のスターを比べてどっちがスゴイのか、という話題がしばしば盛り上がりますよね。野球で言ったらベーブ・ルースと大谷翔平ではどっちがスゴイのか? ゴルフで言ったら、ジャック・ニクラスとタイガー・ウッズどちらが勝つか? 

といったような話です。

ですが、どんなジャンルであれ進歩し続けてきたわけで、競技に使われる道具はもちろん、ルールやフィールドも時とともに進化しており、別の時代を生きたアスリートを直接比較するのにはやはり無理はあります。

各選手の記録や素晴らしいプレーが残っているとしても、それを比較対照して優劣を比べることに意味はありません。

それでもやっぱり比べたくなってしまうものなのでしょうね。

わたしだって、現役バリバリの頃のアニカ・ソレンスタム選手とキャシー・ウィットワースさんが、マッチアップしたらどんな戦いになるか、思わず想像しちゃったりします。

それはワクワクしますよ。


わたしが現役だったら?

アスリートの本能として「強い相手と戦いたい」のはもちろんですが、白黒つける勝負がしたい、というよりは、その相手と戦うことで自分のリズムも良くなり、お互いの力を余すところなく出し合うプレーを楽しみたい、という思いのほうが強いですね。

そういう意味で、ネリー・コルダ選手とはぜひ一緒に回ってみたいですね。

圧倒的な飛距離があり、ショット力も申し分なく、決断が早く、振る舞いや動きにもキレがある。

プレーには自然とリズムが出て、お互いに良いショットで刺激し合うようになると思う。

全盛時のわたしと今のネリーが同じ組でプレーしたら、ひょっとしてギャラリーをみんな“二人占め”しちゃうかもしれませんよ(笑)。

LPGAツアーには、昨年に続いて今年も日本の新しい選手が増えましたが、竹田麗央、山下美夢有、岩井明愛、岩井千怜の4選手はいずれも実力は十分。

新しい環境に慣れさえすれば、確かな成果がついてくると思います。

先月、タイで開催されたトーナメントで、最終日に爆発的なスコアで優勝争いを盛り上げた岩井明愛選手はとくに注目ですね。

わたし自身、一緒にラウンドしてみたい選手の一人です。

何といっても、ドライバーからアイアン、アプローチ、パッティングまで安定した力を備えているからです。

日本ツアーでは、攻撃的で歯切れのいいプレースタイルには定評がありましたが、今後は安全域から攻めていくゲームプランも身につけていけば、世界でも常に上位を狙える存在になれると思います。

昨年の国内ツアーでナンバー1となった竹田選手も楽しみですね。

ルーキーイヤーでの大活躍も夢じゃなく、特に4月に開催される今年最初のメジャー、シェブロン選手権の舞台は、飛距離と正確性の両方が求められるショットメーカー向きのコース(ザ・クラブatカールトンウッズ=テキサス州ヒューストン)と思うので、彼女には向いているかと思います。

竹田選手にはわたしは密かに期待していますし、彼女もプレーしてみたいと思う選手の一人です。

昨年の国内ランキングトップの竹田さん以下、2位の山下さん、3位と5位の岩井ツインズが抜けたことで、今年の国内ツアーが寂しくなることを心配する向きもありますが、そうは思いません。

ここ数年、毎年日本女子ツアーの上位が入れ替わり話題を作ってきて、きっと今年もまた、新星が登場するでしょう。その中から来シーズンはアメリカへと羽ばたいていく選手が、続々と後に続いていくのでしょう。

その背景には、国内ツアーのコースセッティングが米ツアーや世界メジャーのレベルに近づいてきたということも多少なりとも影響はあると思います。

コース管理をはじめさまざまなツアー環境の整備改善に長年尽力をいただいてきたみなさまには心から頭が下がります。

今年も勢いのある選手がたくさん出てくると、みなさんも私も楽しみでなりませんね!

「ワクワクする選手が今年も出てくるのか、とても楽しみです」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2025年3月25日号より