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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.212「ドラコンプロからの気づき」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yasuo Masuda

前回のお話はこちら

昨年、あるドラコンプロとの出会いがありまして、これがなかなか面白い展開になっているんです。

彼は、松本一誠くんで、171センチで76キロですから、ドラコンプロとしては驚くほど小柄です。それでも2023年のドラコンの日本大会で優勝しているし、最長飛距離記録は429ヤードというんで驚きです。

ちょっと興味があって、昨年伝手を頼って会って話をさせてもらったんですが、まずスウィング見てビックリですわ。ドライバーはものすごい軟らかいレディス用のシャフトを使って、シャフトのしなりとタイミングで飛ばしていると言うんですが、これがどう見ても筋力で飛ばしていないんです。

彼のレッスンを聞いておったら、基本は振り子運動で、振り子が逆方向に振れるときにピュッとやったら勝手にヘッドが走るいう理屈なんです。つまり、クラブがトップに向かって行っている間に下半身を切り返せという一般的な飛ばしの理論ではないわけですね。


一般的な理論はフィジカルがすごく強いやつやないと飛ばんというわけです。普通の人間の場合は、さっきの振り子のようにトップで力をちゃんと受け止めてから加速に入ったほうがスピードが上がるいうんが彼の教えです。

僕もトップで待つほうですから、僕らのテクニック系と彼らの飛ばし系は、トップでの「間」が共通点やという話なんです。普通に考えたら、「飛距離」と「テクニック」を両方手に入れるんは難しいし、ともすれば別モノと思うやないですか。

でもこれはまったく同じもので、そういう「間」とタイミングでクラブを扱うことができたらむちゃくちゃ飛ばせるし、コントロールして球も曲げることができる。まさに鬼に金棒やないかということです。

松本くんが所属するドラコン協会を作った松谷さんいう人が、僕の師匠の高松志門さんにゆるゆるグリップを教えてもらいに来たことがあるらしくて、その人のもとで松本くんもドラコンプロになったという。ルーツ的に似たものがあるいうことでしょう。

松本一誠くんとの対談と彼の飛距離アップの秘訣に関しては、次号の特集でお伝えできると思いますのでお楽しみに。

「一見まったく違うように見える僕たちに共通点があるんが面白いでしょう」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年2月4日号より