Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【イザワの法則】Vol.51「冬の薄芝」攻略のカギは“ゆるやかな入射角”

【イザワの法則】Vol.51「冬の薄芝」攻略のカギは“ゆるやかな入射角”

冬はコースの芝の生育が止まって、薄いライからボールを打つことが多くなる。プロはどうやって冬芝にアジャストしているのか。また、冬ゴルフでスコアを維持するコツとは何か?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

見るべきポイントは
ボールの下のすき間と
ボールの後ろの芝

冬のこの時期、芝が枯れてライが薄くなるというのが、アマチュアにとっては一番難しいところなのかもしれません。1年を通じていいプレーをしたいのであれば、必ずやらなければいけないのが「ライの見極め」です。冬の場合は、夏とも春・秋とも違うライの状況になるので、それに合わせた打ち方が必要です。

たとえば、冬のフェアウェイは芝の上にボールが浮かない(ボールと地面の間にすき間がない)ので、アイアンで打つ際に、よりシビアな入射条件が必要になります。とくに、アウト‐イン軌道が強くて、普段からアイアンの入射角がきつめの人の場合は、ヘッドを入れていい場所の許容範囲が狭くなるので、難しいかもしれません。そういう場合、アイアンでもユーティリティのときのような払う感じの軌道で、フェースの下のほうでボールを拾うイメージで打つとミスを減らせると思います。

ラフの場合は、まずボールがどのくらい沈んでいるか(ボールの下にどれくらいすき間があるか)と、ボールの後ろにどれだけ芝があるかを確認します。ボールが沈んでいる場合は、やや鋭角な軌道で打つほうがいいでしょう。ボールの後ろに芝が多い場合は、ランが多くなることを計算に入れて、番手を下げる判断が必要になることもあります。


転がしのアプローチを
3種類のクラブで
練習しておくといい

とはいえ、フルショットの入射角をコントロールするというのは、かなり難度の高いテクニックですので、急にやろうとしてもうまくいかないと思います。とくにスライサーの人は、普段からなるべくゆるやかな入射角で打つ練習をしておくと、それ自体がスライスを軽減させる効果もあるので、ぜひ試してみてください。

ライの見極めが必要になるのは、アプローチも同様です。というか、アプローチのほうがより重要度が増すかもしれません。どういうわけだか、ボールとフェースの間に芝生が挟まる影響について軽く考えている人がアマチュアには多いです。プロアマで一緒に回っているアマチュアから、「キュッと止まるアプローチが見たい」と言われることも多いですが、ボールがラフにあってもお構いなしなのが本当に困ります(笑)。

プロの目からすると、ボールの後ろに少しでも芝があると、それだけでまずスピンの最大量が下がるという判断をします。となれば、上げて止めるようなアプローチは選択できないので、転がしをベースにして、ファーストバウンドを普段よりも手前に設定することになりますが、そうすると打ち方を変えるよりもクラブを替えてしまうほうが楽な場合もあります。

少なくとも、冬芝では転がしのほうが圧倒的に楽で安全なので、普段からSW、PW、8番アイアンの3本くらいで、ロフト通りに打って転がす練習をしておくことをおすすめします。そうやって、キャリー、ラン比率が違う3種類のアプローチがあれば、大抵の状況で寄せられますし、それで寄らないライなら「しょうがない」と諦めることも必要でしょう。

「ゆるやかな入射角のほうが
少し手前から入っても
大きなミスになりにくい」

ライを制する者、冬を制す

芝が枯れてライが薄くなるほど、最下点のコントロールは重要。ヘッドを上から入れて、ボールだけを打とうとする(最下点をボールの先に設定する)より、全体の軌道をなるべくシャローにして最下点付近でボールを拾うほうが、冬は安全でなおかつ簡単だ

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2025年2月号より