【キミこそ王子だ】Vol.340 シンプルなリズムとヘッドを走らせる技術を兼ね備えた将来有望すぎる中学生
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は三重県出身、津市立久居中学校1年、木下陽菜子さんだ。数々の試合で上位に食い込む彼女の武器は、驚異的に曲がらない球筋。そのスウィングの秘訣を武市が解説する。
今回の王女候補
木下 陽菜子さん
きのした・ひなこ ●主な戦歴/2024 日本ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部 3位 ●ベストスコア/69 (武蔵CC豊岡C) ●練習/毎日2時間200球 ●トレーニング/毎日30分ランニングなど
本年度「中部ジュニアゴルフ選手権」で2位タイ、「日本ジュニアゴルフ選手権」で3位という優秀な成績を収めた木下陽菜子さん。
ゴルフを始めたのは父親のすすめで幼稚園年長のとき。現在、中1だが早くも将来を嘱望されている選手のひとりだ。スウィングを見た武市は、球の高さが何回打っても同じであることに注目した。
「常に同じ高さの球を打てるということは、ヘッドの入射角にバラつきがないという証拠。なんでそうできるかというと、ひとつはリズムがいいから。陽菜子ちゃんは切り返しで急にリズムが早くなったり、インパクトで力んだりすることがない。すごく心地のよいリズムで打っている」と褒めた。
「ありがとうございます。リズムは自分でも気を付けています」
「どんなイメージで打っているの?」
「イチで構えて、ニでバックスウィング、サンで打つ、という感じです」
「シンプルでいいね。ほかに意識していることは?」
「トップの位置です。右の上腕が地面と平行。かつ、左手首が折れず、甲が真っすぐになることを意識しています」
「体の軸も安定していて傾かないし、ダウンスウィング以降の左腕の使い方が上手だから、ヘッドを上手く走らせることもできている。左腕は目標方向に真っすぐ出すほうが、スウィングが大きくなっていいと思っているアマチュアも少なくないんだけど、それだとヘッドが走らないよね。陽菜子ちゃんは左腕をやわらか〜く使って上手にたたんでいる。だから、いい感じにヘッドが走って、中1にしてはかなり飛距離も出る。シンプルなリズムで安定した球筋を確保しつつ、ヘッドを上手く走らせ飛距離も出る! 素晴らしいスウィングです」と武市。
好きなプロは岩井姉妹という陽菜子さん。今年、「日本ジュニアゴルフ選手権」に参戦するために、埼玉県を訪れた際、岩井姉妹がジュニア時代に通っていた練習場を訪れたという。
「岩井姉妹を取材したとき、その練習場に僕も行った。『リンクスゴルフクラブ』だよね」
「はい。せっかく埼玉に来たから、行ってみたいと思いました。そうしたら、偶然、岩井プロを指導していた所属プロの永井哲二さんが受付にいらっしゃいました。それがご縁で、今ときどきスウィングを見てもらっているんです」
「“好きこそものの上手なれ”ってまさにそういうことだよね。ゴルフが好きだからこそ、岩井姉妹が好きだからこそ、わざわざ足を運んだわけでしょ。その情熱が偶然の出会いをもたらし、さらに上達するキッカケを作った。いい話だわ〜。まだ中1だから体の線は細いけど、成長して体力や体幹が強化されたら、さらによくなる予感。陽菜子ちゃんは技術的にもマインド的にもポテンシャルを大いに感じる選手だと思う。何百人もジュニア選手を見てきた僕が言うんだから間違いなし!」
と自信を持って太鼓判を押す武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月31日号より