【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.208「目標を掲げて事にあたる」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
2024年も残りわずかとなりました。この時期になると、今年の印象に残った人や出来事が話題となりますが、スポーツ界で言うたらなんといっても大谷翔平選手でしょう。すごい一年間でしたから。
昨年の暮れにロサンゼルス・ドジャースと10年間で7億ドル(約1078億円)の超大型契約を結び、入団初年度の今年、ワールドシリーズで優勝するのが夢やと言うていたその夢を一年目で叶えたわけですからね。
そして結婚はするし、詐欺で大金を取られるしと、この1年間で、えげつないことばかり起こっているわけですよ。それでもへっちゃらな顔をしてやってるわけですから。そらよっぽどハートがすごいんやろなと思います。
大谷選手といえば、高校時代に目標を達成するための課題を書き出したシート(マンダラチャート)を作っていたことが話題になりました。中央に書いた目標は「ドラ1」、つまりドラフト1位指名です。
ワールドシリーズの優勝いう夢を口にすることや、ドライチという目標を掲げることで、それをモチベーションにしたわけでしょう。そして、大谷選手はそれをことごとく実現させている、そこがすごいとこですわ。
僕はプロゴルファーになる前に、自動車が欲しかったんです。ベンツですわ。当時は、ベンツが1番ええ車やというか、ベンツに乗ってると皆どいてくれる、それが優越感でね。ベンツに乗ることがモチベーションになっとったわけです。
「オレは絶対ベンツ乗ったんねん」の一心でテストに通って、試合に出始めて500万か700万か賞金を稼いだときに、親父の友人のベンツを中古で譲ってもらいました。S300 やったかな、当時の定番の紺色でね。でもまだ中古やったからこれじゃあかんと、半年後に有り金を全部はたいて新車のクラウンのロイヤルサルーンを買い、その後、シードに入るようになって念願の新車のベンツを買うたんです。自動車好きやから1~2年おきに車は買い換えて、結局、ベンツだけで20台以上乗りましたからね。
大谷選手とはスケールが違いすぎやけど、なにか事にあたるときには、なんらかの目標を掲げるいうんは大事なことやという話です。
「目標は人それぞれ。なんでもいいんやと思います」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月31日号より