【南出仁寛の千日回峰行】Vol.1「カタリスト」と出会う
シニア入りを機にツアープロ転身を目指す南出仁寛プロの修行の旅がスタート。まずは、今のスウィングの客観的評価を求めて最新機器を備えたスタジオへ。
PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/フォクシーゴルフ
ゴルフ修行僧/南出仁寛
みなみで・きみひろ。78年生まれ、大阪府出身。06年にプロ転向。ドラコン日本タイトル15冠。世界大会は11度出場し、最高成績は10位(日本人最上位)。シニアツアー出場資格年齢まであと4年
今月の「師僧」/渡邊康
わたなべ・やすし。「フォクシーゴルフ」コーチ。パターレッスンが得意で「パターモンスター」の異名で知られる。ツアー出場の経験も生かしつつ、最新機材を使って多くのゴルファーにレッスンを提供している
「下半身の粘りが少なくなった」
悩みの理由が明白に
渡邊 スウィングカタリストでの計測を始める前に、ご自身のスウィングに関して何か気になることはありますか?
南出 22年に腰の手術をしたんですけど、それから何となく下半身の粘りが少なくなった感じがしますね。バックスウィングも上がりにくくなりました。
渡邊 なるほど。では、それを踏まえて計測してみます。
南出 どうですか?
渡邊 さすが飛ばし屋だけあって、地面からもらう反発力はすごいです。ただちょっと気になるのが、インパクトで左足のほうに90%くらい重心があることですね。言い換えると、右足が「無い」状態。最大効率で地面の力を使うのであれば、インパクトでは右足で押す圧力がもう少し必要です。
南出 下半身が粘れてないと感じてたんは、そういうことやったんやね。
渡邊 そうですね。それと、インパクトまでの重心移動軌跡を見てみると、ダウンスウィングに入ってから重心が左に行きっ放しになっているのも気になります。実は、世界のトッププロのデータを見ると、切り返しで左に重心が移った後、そこから一度右に戻って、さらにもう一度左に移ってインパクトというのが普通なんです。
南出 何か、右足を粘らせるコツみたいなものはないんですか?
渡邊 切り返しの踏み込みのときは左つま先に、その後左かかとに体重をかけるというふうに、2段階でやるといいんです。最初にちょっと踏み込んだら、すぐにひざを後ろに引く感じですね。それで右足が粘る動きも出てきます。
南出 確かに、右足でも地面を蹴る感覚が出てきました。
<問題点>
インパクトで重心が9割方左サイドにある
「スウィングカタリスト」は、足裏の圧力を計測し重心の動きなどを分析できる機器。これを見ると左足重心インパクトなのが明らか
南出「腰を手術してから気持ちよく振れません」
渡邊「もう少し体重を右に残せるといいですね」
左足の蹴る方向を「後ろ」にしたら
右足も使えるようになった!
Drill 1
左足で踏んだテニスボールをインパクトで後ろに蹴る
切り返しで左足つま先側に踏み込み、すぐにかかと側に重心を移す感覚をつかむドリル。左足でボールを踏んだ状態から、ダウンスウィングでボールを後ろに飛ばすように足を使う。転ばないように十分な注意を払って行うこと
Drill 2
押されるクラブをフォローで押し返す
フォローの形で誰かにクラブを押してもらい、それを押し返す。右足にも圧力をかけて振る感覚がつかめる
右サイドの重心配分が増えた!
いくつかドリルをこなして再度計測してみると、インパクトでの重心配分における右足の割合が増えた(左91:右9から左77:右23に)。踏み込んだ力を残さず使えている証拠
月刊ゴルフダイジェスト2025年1月号より