【キミこそ王子だ】Vol.338 祖父仕込みの軸ブレしないスウィングで飛ばす大型中学生
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は埼玉県出身、熊谷市立妻沼西中学校3年、林田遼汰くんだ。身長181センチと恵まれた体格で飛距離は290ヤード。祖父に教えられた基本に忠実なスウィングを武市が絶賛!
今回の王子候補
林田 遼汰さん
はやしだ・りょうた ●主な戦歴/2024 日本ジュニアゴルフ選手権 12~14歳の部 3位 ●ベストスコア/64(武蔵CC豊岡C) ●練習/2時間300球 ●トレーニング/たまにランニング
2009年生まれの林田遼汰くん。ゴルフが大好きだった祖父が当時人気と実力が日本イチだった石川遼にあやかり遼汰と名付けた。ゴルフを始めたのは8歳。順調に実力を伸ばし、8月開催の「日本ジュニアゴルフ選手権」で3位の好成績を収めた。
彼の武器は、飛距離を生かした“爆発力”。日本ジュニアでもボギーフリーの8アンダーを叩き出し初日は首位をマークした。「中学生で8アンダーが出せるなんて信じられない」と武市。
身長は181センチあり見た目に中学生だとは思えない遼汰くん。
得意クラブは9番アイアンとのことだが、やはり注目せざるを得ないのがドライバーだ。
「いろんなジュニアに『同年代でスゴイの誰?』って聞くと、遼汰くんの名前は必ず出る。飛距離が
ハンパないって」
実際に球を打ってもらうと、その球筋に武市は驚愕。
「ウワサは本当だったね。規格外の飛びだ」
現在は週イチペースでプロに習っているがゴルフのいろはを教えてくれたのは祖父だ。
「どんなことを教わったの?」
「グリップはスクエア。スウィングは軸を意識してインパクトで緩まないようしっかり振れ! と言われました」
「ゴルフをわかってらっしゃる。スウィングはいろんな流派があるけど、キレイなグリップとしっかり振り切ることは、ゴルフの基本中の基本だもんね。そのうえで軸を保って振れば、オンプレーンで振れて飛距離も出せる。遼汰くんで注目したいのは頭の位置がアドレス時からずっと左右に動かないこと。その状態のまま思い切り振ればインパクトでいわゆるビハインド・ザ・ボールとなる。結果、頭とヘッドが反対方向に引っ張り合い大きな遠心力が働く。ザックリいうと飛ぶのはこういう理由。ただ、真似するのは難しいよ。頭を動かさないようにすればいいってわけじゃないから。頭は固定するのではなく強靭な下半身と体幹によってブレさせないようにするってイメージが正解かな」
そして良質な筋肉を持っている遼汰くん。それにはある理由があった。
「小学校に上がる年に自転車に乗っていて交通事故に遭い大腿骨を骨折しました。そのときのリハビリのつらさを今でも忘れません」
「当時のつらいトレーニングがもしかすると、今に生かされているのかもしれないね」
ドライバーの飛距離は彼の魅力のひとつであることは間違いないが、実はショートアイアンやアプローチも上手い。
「フェースを開いて、閉じながら当てるコントロールが上手。それもやっぱりスクエアグリップ、そして軸ブレしないスウィングのおかげだよね。来年は高校生だけど、もう期待しかない! 全国優勝も時間の問題」と確信する武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月3日号より