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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.148「アプローチはボールを打つよりクラブを投げる!?」

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

この前、アプローチの練習をしていたとき、思いつきでクラブを投げてみた。普通に球を打つだけじゃ、10球で飽きちゃうからね。なんか面白い打ち方ないかな~と考えていたときにひらめいたんだ。うちの練習場はショートコースが隣接しているので、お客さんがいないときは、遊び放題なもので……すみません(笑)。

まぁ、もちろん、投げるといってもやり投げのように遠くへ投げたわけではない。10~20ヤードぐらいのアプローチをイメージし、グリップもアドレスも普段どおりにおこない、インパクトの瞬間、手を離しただけ。ただ、これがなかなか面白い発見となった。

手を離すと……クラブヘッドはターゲットの方向に2~3ヤード飛び、その後ポテっと倒れた。打った球はふわっと上がってコロコロコロ~っと転がった。本番だったら、間違いなくピンに寄っていくいい球だった。

試しに、その動きを体の正面から動画で撮影してみた。そしたら、思いのほか、いい感じに振れていてビックリ! 体と両腕が同調し、体の幅にバッチリ収まっているし、フォローもめっちゃきれいだし、とても手を離したように見えない完成度だったのだ。

つまり、クラブをきれいに飛ばせれば、結果的に球もきれいに打てるということ。そこで、ボクは思った。球を打つ練習をすると、誰しもついつい手をこねたり、チャックリしたり、手打ちになったり、右肩が突っ込んでしまいがち。それなら、いっそのこと視点を変えて……球ではなくクラブを飛ばす練習を
すればいいのでは? と。

もっとも練習場所は限られる。打ちっぱなしは絶対NGだし、駐車場のようなコンクリートでやるとクラブが傷ついてしまう。アプローチ練習場があれば、周囲に十分気を付けながらやるのがいいだろう。たぶん、最初はぜんぜんうまくいかないと思う。まず、そんな練習しないから、どのタイミングで手を離していいかわからないかも。

そうだな、離すというとパッと手を広げてしまうけど、どちらかというとインパクトの後、勝手に手からグリップが離れていく。そっちのほうがイメージ的には近いかな。

ゆるく握りすぎるとチャックリしちゃうし、逆にギュッと握りすぎても、グリップが離れないので、自然と程よいグリッププレッシャーがわかってくる。

手をこねたり、体が突っ込むと、当然クラブがあらぬ方向に飛んでしまうので、自然と腕と体が同調した打ち方が身につく。

さらに、ダウンからインパクトにかけてエネルギーを出すポイントもわかってくるだろう。そうなれば、もう完璧。あなたはすっかりアプローチ名人だ!

この時期、花粉症で外に出るのが嫌な人は、家の中でおもちゃのクラブとボールでやってもいいかもね。球を打つ練習ではうまくいかない人は、クラブを投げる。ちょっとマニアックな練習だけど、意外と理想の動きが身につくだろう。アプローチが苦手な人は騙されたと思って試してみて。

打った直後に手を離し、クラブがきれいに飛べば体と腕が同調している証拠。手のひらをパッと開くのではなく、するりと抜けていく感覚で振ってみよう


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2020年3月31日号より