Myゴルフダイジェスト

“今年の顔”竹田麗央、強さの秘密を徹底研究!

今季、4月のバンテリンレディスで初優勝を飾ると翌週のフジサンケイレディスでも勝利し、2週連続優勝。国内女子ツアーで圧倒的な力を見せているが、先日のTOTOジャパンクラシックで勝利したことで米女子ツアーの出場権も獲得。一気にスターダムを駆け上がった彼女は、一体どんな選手なのか。ジュニア時代から現在まで、彼女の強さの秘密に迫ってみた。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroshi Yatabe

竹田麗央 2003年4月2日生まれ、熊本県合志市出身。熊本国府高校を卒業後、2021年11月にプロテスト合格。両親が経営するゴルフショップに訪れたブラジル帰りの客が「リオのカーニバルは最高だった」と話していたことがきっかけで、この名を授かったそうで、世界で活躍してほしいという親の願いが込められている

わずか1年で日本を制し
来年からは世界へ

圧倒的な強さで今季の国内女子ツアーの顔となった竹田麗央。その核となるのはツアー屈指の飛距離を誇るドライバーで、自身が「生命線」と語るパー5の平均スコアはツアー1位と抜群の安定感を見せる。そんな竹田は「最終日、優勝を狙える位置でも結果を気にせず、思いっ切りプレーすることを心掛けているので、そこは成長できたと思います」と、自らメンタル面の成長を強く実感している。

今季、技術とメンタルの両面で大きな成長を見せた竹田は来年、憧れのLPGAツアーへ殴り込む。まだ21歳と成長途中の大器がどこまで力を付けるのか。世界中のゴルフファンがそのスケールの大きなプレーに驚く姿が、今から目に浮かんでくる。

ゴルフ一家に生まれたサラブレッド!

父・宜史さん(写真右)はゴルフショップを経営しており、麗央は物心つく前からここでボールを転がしていた。現在もクラブの相談をよく父にするという。プロゴルファーとしてツアーにも出場していた母・哲子さん(写真右から2番目)からゴルフを教わった。弟・征士朗さん(写真左)と兄・有男さん(写真左から2番目)は野球の道に進み、有男さんはキャディを務め、初優勝したバンテリンレディスでもバッグを担いだ

母の姉は元賞金女王の平瀬真由美

高校時代に才能が開花
21年日本女子オープン7位でローアマ獲得!

熊本国府高校1年の時にバンテリンレディスで初めてプロの試合に出場すると、九州ジュニア、九州高等学校ゴルフ選手権と九州の大会で勝利を重ねる。21年には日本女子オープンでローアマを獲得するなど、次第に全国でその名が知られるようになった。19年日本女子アマに出場した時にも野球が好きだと答え、笑顔でピッチングフォームを披露してくれた

アマチュア時代の主な成績

2015年オフィスバークレーCUP TKUジュニアゴルフ選手権小学生の部優勝
2019年KKT杯バンテリンレディスオープン予選落ち
(プロの試合に初出場)
2019年九州ジュニアゴルフ選手権女子15~17歳の部優勝
2020年九州高等学校ゴルフ選手権優勝
2021年日本女子オープン7位タイ(ローアマ)

高校3年時にプロテスト合格
「世界で活躍できるプロゴルファーになりたい」

高校在学中の21年プロテストを5位で合格。この年の合格者には尾関彩美悠(1位)、佐藤心結(4位)、小林夢果(12位)、櫻井心那(12位)、川﨑春花(12位)、仁井優花(15位)、天本ハルカ(15位)、宮澤美咲(20位)など。竹田はこの時、今後の目標に「世界で活躍する選手になりたいです」とコメントした

当時の憧れの選手は
ローリー・マキロイと
ダスティン・ジョンソンだった

小さい頃から体が大きく、飛距離には自信があったという竹田。高校時代にPGAツアーの動画をよく見ていたそうだが、目標としていたのはローリー・マキロイ、ダスティン・ジョンソンという飛ばし屋の2人。元世界ランクトップの両者に共通するのはダイナミックなスウィングから生まれる飛距離とメジャーを何度も制する強さ。この頃からすでに竹田の目は、世界に向けられていた

尊敬する先輩は
交友歴5年のイ・ボミ

高校生で出場した19年バンテリンレディス初日にイ・ボミと同組になって以来、交流を続けている竹田。写真は昨年のマスターズGCレディス2日目終了後に、引退するイ・ボミを選手たちが囲んでのお別れ会。緑色のスカートをはいた竹田はイ・ボミとハグを交わし、感謝を伝えた

5つ年上の小祝が親友
仲良く野球観戦も

ツアー仲間でライバルでもある小祝さくらとは大の仲良しで、竹田のインスタグラムには、よく2ショットが投稿されている。写真は今年、2人で野球観戦に行ったときのもの。サスペンデッドとなったTOTOジャパンクラシック3日目は小祝の誘いでゲームセンターに行ってリフレッシュした

野球好きは筋金入り
初めての賞金でグローブを購入

プロになって初めて獲得した賞金の使い道は、自分へのご褒美のグローブ。大ファンだと公言しているオリックス・バファローズの山下舜平大投手モデルで、カラーは好きな色のピンク。気になるお値段は「7万くらいしました」とのことで、本人にとって思い切った買い物だった様子。先日発足した女子プロ野球部の試合でも使用し、投球速度100km/hを超えるピッチングで三振の山を築いた


「アプローチやパッティングは
自分の直感を重視しています」

2023年2024年
平均パット数(パーオンホール)1.8048(35位)1.7506(4位)
リカバリー率61.2319(55位)69.7674(7位)

昨年のオフは苦手意識があったショートゲームを徹底して練習したという。その成果でパーオンホールでの平均パット数が4位、パーオンを逃したホールでパー以上のスコアを取った割合を示すリカバリー率がおよそ8%上昇し、昨季に比べ大幅にランクアップ。ショートゲーム巧者に大変貌を遂げた。ショットの番手はキャディに相談するというが、ショートゲームは「人の意見が入ると迷う」ため、自分の直感を信じてプレーする

ドラコン2連覇は逃すもこだわりの飛距離は健在

住友生命Vitalityレディスのドラコンでは連覇を逃すも、ドライビングディスタンスは並みいる強敵を抑えて堂々の1位

今年の活躍で世界的企業と
続々スポンサー契約

シーズン当初は所属先のヤマエグループホールディングスだけだったが、今年7月に富士フイルムホールディングスと、そして先月に佐藤製薬とスポンサー契約を締結。続々と大手企業がサポートに名乗りを上げている。クラブやボールはダンロップ、ウェアはマンシングウェアと契約している

優勝副賞も超豪華高級車5台で
2300万円超! 大好きな牛乳もゲット

優勝した8試合で副賞も獲得。高級車は5台で計2300万円超え。北海道meijiカップでは明治製乳製品10年分が贈呈され「毎日風呂上がりに牛乳を飲んでいるのでうれしい」と大喜び。さらに熊本県内に新居を建設中というが、高級シアターセットやトイレもゲット。快適な生活空間でオフにしっかり休息できそうだ

優勝しても淡々としていたが
TOTOジャパンクラシックで

初めて万歳で喜びを表現

優勝しても感情をあまり爆発させることはなく、それを指摘されても「自然であのような感じです」と淡々と答えてきたが、TOTO優勝時は思わず万歳。LPGAの出場資格と2年シードをゲットしたことがよほど嬉かったに違いない

歴史に残る大活躍ぶり
どれだけ記録を更新できるか!?

初優勝シーズンでの歴代最多勝
これまで初優勝したシーズンでの歴代最多勝記録は1989年に小林浩美が挙げた6勝だったが、竹田はすでにそれを更新済み。35年ぶりに塗り替えたツアー記録をどこまで伸ばせるかにも期待がかかる

歴代最多獲得賞金更新
22年に山下美夢有が記録した単一年での最多獲得賞金額はすでにクリアし、統一シーズンだった20-21年に稲見萌寧が記録した1シーズンの最多獲得賞金額2億5519万2049円の更新も確実。今年いったいいくら稼ぐ!?

歴代最少平均ストローク更新に期待
ツアー記録は23年に山下美夢有が記録した「69.4322」だが、竹田は現在「69.1745」。9月以降、TOTOジャパンクラシック終了時までのオーバーパーはわずか2ラウンドで、もはや手の付けられない強さ

週刊ゴルフダイジェスト2024年11月26日号より
※スタッツは11月7日現在