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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.822「コツコツがんばっている選手が陽の目を見るのは晴れやかな気持ちになりますね」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


先日初めてレジェンズツアーの競技を観戦しました。ベテラン選手の方々がすごいアンダーで回られていて迫力もあり楽しかったです。もっとみなさんにレジェンズツアーが開催されていることを周知できたらと思ったのですがどうでしょうか。(男性・ゴルフ歴48年)


数年前から45歳以上の選手が出場できるレジェンズツアーが開催され、徐々にですが試合数も増加しています。

そして先の6月には軽井沢高原ゴルフ倶楽部でレジェンズツアーの公式戦「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」が開催されました。

関東甲信越地方は大会中に梅雨入りのため雨模様で、しかも標高の高いコースの気温は15度以下にもなる寒暖差のなか、実は所用があったこともあり試合会場へ足を運んでいました。

トーナメントは、初日から鈴木佳恵選手と佐々木慶子選手のマッチレースとなり、3日間5アンダーの67を並べた鈴木さんが完全優勝を飾りました。

失礼ながら、名前は知っていましたが当人とはそのとき初対面でした。

今年54歳となる鈴木さんは、レギュラーやステップ・アップ・ツアーを含めてまったくの初優勝だそうで、レギュラーツアーでのシードを取ったことがなかったそうです。

プロフィールには、ゴルフは17歳から始め、岐阜県にあった「日本女子ゴルフ専門学校」の出身とありますから、高校卒業時からプロゴルファーを目指してきたのでしょう。

その後2001年8月のプロテストに30歳目前の29歳で合格してプロデビュー。

そして夢を叶えるまで十数年がかかったわけです。


編集部の方に調べてもらったところ、これまでの成績はレギュラーツアーへの出場は57試合で、うち35試合が予選落ちだったそうで、2009年の伊藤園レディースでの25位タイというのが最上位の成績でした。

基本的にはステップ・アップ・ツアーを中心に戦っていたそうです。

それでも彼女は日々の練習を怠らず、まるでゴルフを呼吸するように毎日を過ごしてきたのに違いありません。

今回の公式戦を観戦して、参加選手たちと言葉を交わすなかでしみじみ感じたのは、年齢を経てからの時間の使い方にはさまざまな形があるということでした。

たとえば、レギュラーツアーで戦ってきた後、ゴルフ場と交渉して練習をさせてもらいながら、コースでお客さんへレッスンも行っていると話してくれた人もいました。

優勝した鈴木さんとも少し言葉を交わしましたが、彼女は愛知県にある東名古屋カントリークラブというゴルフ場に所属していたそうで、1993年にそこで日本女子オープンが開催され、わたしが日本女子オープンを初優勝したのですが、鈴木さんが「ワタシ、そのときそこで研修生をやっていたんです!」っていうのです(笑)。

あれから31年の歳月が流れていますが、あのときわたしは42歳でした。

40歳を超えてツアー優勝の可能性や現役として戦う限界が近いことも感じていたのを思い出していました。

決して目立たないのかもしれないけれども、年齢を重ね誰に注目されるでもなくコツコツと努力してきた人が、晴れやかに活躍する姿を目の当たりにすることもまた、とても気持ちよく思えます。

今年のレジェンズツアーは、11月に行われる「ボンドカップ(近鉄賢島カンツリークラブ)」まであと3大会残っています。

そこでは、レギュラーツアーとは一味違う、人生の深みを垣間見せるプレーやドラマが期待できるかもしれません。

わたしも微力ではありますが、これからも日本の女子ゴルフ界を応援していこうと思っています。

「コツコツやれる人に勝る人はいないと思います」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月23日号より

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